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邱永漢の読めば読むほど
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第547回
マンション建設で歯が立たないわけ

日本の空気を吸ってきたというだけで、
中国や東南アジアに行って仕事をする場合、
勝負に強いという面があります。
向うの人たちがまだ経験していないことを
一足先に経験しているからです。

しかし、経験していることが
何でも役に立つわけではありません。
また日本で通用したことが
アジアのその他の国々でも通用すると考えてはいけません。
たとえば、一足先に高度成長を経験した日本人は
土地ブーム、不動産ブームを一足先に経験しています。
その日本人が中国に出かけてきて、
上海や北京でマンション建設やビル建設を手がけましたが、
うまく行った話は残念ながらきいたことがありません。
日本のゼネコンが
日本の進出企業のビルや工場の建設を手がけていますが、
そういう特殊なコネ以外に、
日本のゼネコンが大きなプロジェクトの受注に成功した話も
きいたことがありません。

不動産業とか建設業は中国人の最も得意とする分野であり、
競争が激甚であるばかりでなく、
許認可に役人の介入する余地があって、
日本人では歯が立たないからです。
私が大陸で建てたビルは
すべて現地のゼネコンに頼んでおり、
日本の業者には頼めませんでした。
日本のゼネコンだと、現地ゼネコンを下請けに使って、
監督するだけで30%も高くなるからです。
では現地ゼネコンに発注すればいいかというと、
安くなった分だけ
自分がゼネコンの役割をはたさなければならないのです。
ちょっとでも目を離すと、
こちらの雇った現場監督が請負業者と結託して、
材料をごまかしたり、
手抜き工事をやるのは日常茶飯事です。

その上、現地資本の同業者と
猛烈な価格競争をしなければなりません。
何しろ中国の建設業者や開発会社は国有事業であり、
経営者は自分のお金ではありませんから、
採算を無視して勝負に出ます。
いくら有望な市場でも日本の不動産業者は
指をくわえて見ているよりほかないでしょうね。

2001-09-08-SAT

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