胸から伝わるっ。
ピーチ・ジョンがふくらんでいく物語。

 
第8回 商品を少し隠すことで、反響を生む。


野口 わたしは、とにかく感覚的なので、
1度ちょこっと話しただけでも、
「この人ってこんなヒトだわ」
みたいなところがあるんです。

ただ、そのせいで知りあって浅くても、
慣れ慣れしく話しかけちゃったりして
ちょっと失敗しちゃう時があるんですけど。
糸井 (笑)
佐藤 ミカちゃんはすごい。
慣れ慣れしくて相手がひいても、
そっちに寄っていきますから。

「ちょっと嫌われているかもしれない」
という状況があったとしても、
相手が1歩ひいたら、1.5歩寄りますよ。
糸井 もともと持ってる、
生き物としてのエネルギーがすごいね。
佐藤 そういうのを、目の前で何回も見てるんで。
糸井 リンダにもそれはあるんじゃないの?
野口さんを、受けとめてるわけでしょ?
佐藤 わたしも、わがままですから。

わたしに最初に出会ったばかりに、
ミカちゃんは、わたしのすごさを
わからなかったところがあるんですよね。
糸井 「わたしのすごさをわからない」
って、いいよねえ。
そうだよね、書く側としては。
そう思うだろうな。
野口 そうなんです。

偶然、いちばん最初に組んだ人が、
リンダという、
いちばん高いワインだったんですけど、
それが、わからなかった。

少しうまくいってくると、
資本家としては、ほかのクリエイターも、
試してみたくなっちゃうじゃないですか。
・・・でも、他の人、ぜんぜんだめなんです。
いまは、あきらめてますけどね。
もう、彼女以上の人はいないだろうって。

わたしは、カタログのコピーと言うよりも、
ものを売るにはやっぱり、
あおっちゃいけなくて、あおる直前というか、
ニュースというか生々しいコピーがほしいんです。
糸井 それ、俺も、いつも思ってたよ。
佐藤 わたしとミカちゃんは
何回か勝負を張ってるんですけど。
でも、
「広告とは、こういうもんなんですよ」
とか話す人には、なりたくなかったから、
あくまでも仕事で見てもらおうと思っていました。

広告には必ずコンセプトがありますから、
一回一回、わたしは戦略を作ってきたんです。
でも、それを説明するよりも、
お客さんを増やすという結果で見せたかったし、
見せてきていると思うんです、わたしは。

商品の内容を
ぜんぶ見せることが広告じゃなくて、
ちょっと隠すことによって反響を取るような、
そのしかけを作ってみたり。

ある時、そのことをちゃんと
話したので、クリエイターとして
いまは、信頼してもらえているかな、と思うけど。
具体的なアイデアを持っているし。
糸井 なるほどなあ。
ふたりが、どういうスタンスで
仕事をしているのかを、
少し、わかりました。おもしろいね。


(つづきます)

2001-09-11-TUE
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