胸から伝わるっ。
ピーチ・ジョンがふくらんでいく物語。

第3回 生意気なビジネス書。


※前回、前々回からの、糸井重里による
 「いま、ピーチ・ジョンの話を
  聞こうと思った動機」のつづきです。

 今日は、
 「しかもなおかつ、
  ピーチ・ジョンへのインタビューは、
  刺激的なビジネス書にもなるなぁと思います」
 というようなことを、しゃべっているんです。


----------------------------------------

ピーチ・ジョンって、
ここまで大きくなったとは言え、
会社のありかたとしては、
「小さい会社が一生懸命やっている」
という形態じゃないですか。
そういうところも、おもしろいですよね。

例えば、会社として
三菱とピーチ・ジョンと比べてみて、
「どちらがいい就職先?」
って学生に聞いたとするじゃない?
親の手前だったら、三菱って言うでしょう。 
試験のむつかしさも、三菱が上ですよ、きっと。

でも、これからは、
そういう、いわゆる「企業の大きさ」では、
人は、ある所で働いている人を
評価してくれなくなるのではないでしょうか。

「大きい会社ではできないことをやっている人」や、
「もともとは素人だったからできた人」に、
ぼくは最近、すごく魅力を覚えるんです。
そういう人と会って話すのは、楽しい。

「どうせ俺は、会社員だし、
 ローンがあるから何歳まで勤めてさあ・・・」

そんな感じを壊すような本を
作りたいなあ、と思ったんですよね。

「へえ、そんなに、うまくいってるの。
 ・・・え? 何、あの人たち、もと素人なの?」
ピーチ・ジョンという会社の人たちは、ちょうど、
そう言われるおもしろい位置にいますから。

経営者やビジネスマンが、
「こいつら、生意気だよな」
みたいに言う本ができたらいいなと考えました。
ちょっと挑戦的なビジネス書にもなるかな、と。

5年前くらいまでだったら、
ピーチ・ジョンのような会社は、もしかしたら、
「若い女の子がキャピキャピやってたら、
 運よくステキなブラジャーができました。
 魔法のように、空中から生まれたんです」
みたいに言っていたほうが、
イメージがよかったかもしれない。
そういう時代って、あったと思うんです。

でも、通販という媒体で
これだけ人気ある理由に対して、
「ただ、ポンと出てきた」
みたいな説明をしてしまうと、
いまの時代には、かえってウソになると思います。
だって、「運がいい」とか、「若いからいい」とか、
そういうことだけで、下着通販という業界で
きちんと業績を残せるハズがないですから。

実力を裏づけるものがないものは、
あんまり売れない、ということを、
いまは、はたらいている人たちが、
気づきはじめている時代でもありますよね。

いまみたいに、
真剣に仕事のことを考えている人の多い時代には、
ピーチ・ジョンが、きちんと積み重ねてきたものを
ひとつひとつ話してしまったとしても、
「舞台裏を知ってしまって、夢が壊された」
とか言う人は、そんなにいないと思うんです。
そういう意味では、いい時代になってきたなあ、
と、ぼくは感じているんですけれども。

ピーチ・ジョンの速度と熱意を、ぜひ、お読みください。

--------------------------------------

(次回から、ピーチ・ジョンのかたがたへの
 インタビューがはじまります。お楽しみに)

2001-08-24-FRI
BACK
戻る