OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.113
- Praha! 1 -



黄金の夢が見たい!
---- 『プラハ!』



『プラハ!』4月29日から渋谷Q-AXシネマでレイトロードショー

ー これは
   目を開けてみる
    黄金の夢! ー


□『プラハ!』配給の加藤さんに会いました。

GWにふさわしい、
超〜かわいいチェコ映画を見つけました!
宝箱にしまっておいて、ときどき取り出して、
ながめていると元気になりそうなこの映画、
渋谷でレイトショー公開なんですけど、
これから続々と全国で上映されます!

チェコといえば、つい最近、
「チェコアニメ映画祭」を見て来たところですけど、
パペットアニメーションとかの美術が優れているし、
ロボットという言葉の生みの親の
映画作家のカレル・チャペックとか、
シュールなクリエイターの
ヤン・シュヴァンクマイエルとか、
けっこうすごいアーティストが
生まれている国で、
このごろどんどん注目度が増していますね。

そんなチェコのミュージカル青春映画が、
この『プラハ!』なのですが、
単純な青春胸キュンものではなくて、
1968年に起った「プラハの春」という、
チェコの人には忘れられない時代を背景にした、
マジメなメッセージも込められているんです。
でもそれを政治色強く、暗く描くのじゃなくて、
なんとも、楽しい、ポップでおしゃれで、
色彩豊かなミュージカルで描いた映画です。

監督は若いフィリプ・レンチ監督。
チェコでは、CM監督やミュージカルの演出で
第一線で活躍している人のようです。
会ってみたいですねえ。



音楽も映像も衣装もセットも、すべてイイ!
のですが、とくに印象深いのは、
主演の女優さんのかわいらしさ!!!
上に写真がありますけど、彼女は、
ズザナ・ノリソヴァーさんです。
(誰ですか、もりそば一杯とか言ってるのは。
いや、なんか似た発音なんですけどね。)

彼女を見るだけでも、この映画、すごい価値が
ありますねえ…。キュートですよ〜。
ちょっと古風な香りもする美人です。
『グリース』のオリビア・ニュートンジョン みたいでしょ、と加藤さん。
あ、加藤さんとは、この映画の配給会社、
アンプラグドの加藤武史さん。初登場です。
以前、私の大好きな三木聡さんの
『亀は意外に速く泳ぐ』の宣伝もされていて、
次の『ダメジン』という作品も担当されるという
ことで、そんな方が買い付けして来たという、
映画なら絶対スゴいはず…と、
加藤さんにお会いしました。

加藤さんもお若くて、おもしろくて、
まるで落語を話すみたいに、
よどみなく『プラハ!』配給裏話を
たのしく語ってくれました。


(アンプラグド代表の加藤武史さん&小川知子さん)

『プラハ!』は、
さっきもちょっと書いたように、
1968年初夏のチェコスロヴァキアが舞台。

いまのチェコ共和国が
「チェコスロヴァキア共和国」
という名前の国だったときです。
社会主義体制のもとで、民主化が進み、
人々は自由を謳歌するという、ちょっと
不思議な「のどかさ」を味わっていた時代
だったのですね。
後に“プラハの春”と呼ばれたこの時代は、
刻々と、戦争の波が押し寄せ、自由の無い、
暗黒の時代が迫り来る前、ほんの一瞬の、
春の時代だったわけです。

そんな時代に、いまと同じように、
ボーイフレンドとのドキドキのデートを夢見て、
未来に向って踊るような青春を過ごしていた
高校生のテレザ、ブギナ、ユルチャ。



アメリカ行きを画策する脱走兵の若者、
シモン、ボプ、エマンに出会って、
ワクワクの恋に落ち、
永遠のように思える時間がはじまる。
だけど、そこに、脱走兵の追跡と、
ワルシャワ条約機構の戦車が、
ピリオドを打ちにやってくる…。

…という感じのストーリーです。
ではでは、加藤さんに、
チェコの話や、チェコ人の話、
「プラハ!」というタイトルになるまでの
ストーリーなどなどを伺いましょう。

□チェコはオトナの「美人の国」

── 配給会社の方にお話を聞くのは初めてです。
   このミュージカルはとてもキレイで感動でした。
   フランスのジャック・ドゥミテイストもあったり、
   なんと言っても、
   主役の女優さんがかわいいですね〜。


加藤 ありがとうございます。
   じつはチェコは「美人の国」と言われてて、
   僕も興味があって調べてみたんですけど、
   たしかに多いですよね。
   ルーマニア、ハンガリー、チェコは、
   民族が混ざり合う地域でもあるので、
   女の人がキレイなんですね。
   …なんだけど、この人がチェコで有名かというと、
   聞いたところでは、あまり有名じゃない
   ということなんです。

   チェコの美人は、ただかわいいとか、
   美人というだけじゃなくて、
   強くないとダメだというんです。
   わかりやすくいうなら、
   アンカーウーマンみたいな人が
   チェコではメジャーなんだと言われて。
   日本だと、たとえば安藤優子さんみたいな、
   仕切りもできる40代ぐらいの
   キャリアウーマンで、きれいな人。
   という人が有名で、彼女(ズザナ)は、
   まだ子どもだ、みたいなね。


── オトナの女の国ですね(笑)。
   (いいですよね…)


加藤 そうそうそう。そういう感じ。
   だから、こんなに踊れて歌える女優さんなのに、
   まだまだヒヨッ子みたいな評価なんですね。


── でも日本に来たら、すぐに人気が出そうですね。
   ところで、映画も全体的にすごく洗練されてて、
   おしゃれですね。


□チェコ人はA型…?

加藤 そうですね。
   フィリップ・レンチ監督は、
   ミュージカルも撮れる監督で、
   チェコでミュージッククリップとかCMとかを
   撮る第一線の監督です。
   だから、ミュージックシーンの作り方が、
   慣れてるなという気がすごくしますね。

   年齢もまだ若くて、34、5歳だったと(撮影時)
   思うんですけど、そういう感性もぴったり
   はまってると思います。

   彼にとってみると、'68年というのは、
   記憶があるわけでもなく、
   こんな感じの時代なんだろうなというのを
   自分の得意なミュージカルをベースにして、
   わりにマジメな設定で、
   “プラハの春”という時代を織り込んでいく
   という感じなんですね。
   多分当時(と同時代の)の監督だったら、
   逆になったと思うんですよ。
   ミュージカルはちょこっとあるだけで、
   '68年以降の、社会主義が重くのしかかり、
   暗い時代になっていくところを中心に
   描くというのが、ベースになったと思うんです。

   それを逆の視点で描いているところが、
   この映画がチェコですごくヒットした理由
   なんでしょうね。
   いまさらドマジメに事件のことを扱うというよりは、
   古き良き時代、という感じで、
   「楽しくいい時代だった、
   でもツラくもあったよね」ということを
   マジメに謳っていると。

   チェコの人は、基本的にマジメなんですよ。
   根がすごくマジメなので。
   どっちかっていうと、この映画も、
   とびきりおしゃれというよりは、
   ちょっとダサいっていう「ダサおしゃれ」
   みたいなね、感じがあるんですけど。


── それって国民性に由来しているところが
   あるんでしょうね。


加藤 そうなんでしょうね。
   血液型でいうと「みんなA型」みたいな感じで。
   つまり、律儀なんです。
   モノゴトにまっすぐ向う人が多くて、
   また影響もされやすいんですね。
   この作品も衣装とか、もちろんおしゃれですし、
   セットもポップな感じなんですけど、
   もとを辿ると、やっぱりフランスなんですね。

   チェコのデザインで「キュビズムデザイン」
   というのがあるんだけど、
   それもパリから来てますし。
   衣装の原色使いというのも、
   「チェコファッション」っていうのを読むと、
   ツゥイギー(60年代大人気モデル)に
   影響されているんですね。
   パリとかロンドンとかは、
   かなり洗練されているのに対して、
   チェコはやや…人間らしさも加わってて。
   影響を受けやすい人たちならでは、
   という感じです。


── そうですね。
   国自体も、西と東の間で揺さぶられて、
   境界にいるツライ立場だったという
   経験もありますものね。


加藤 ほんとに、政治的にもそうですし、
   文化もそうですね。


   つづく。

というわけで、またプチ連載になります。
次回は、配給の核心部分を…。
お楽しみにね。


Special thanks to Takeshi Kato and
Tomoko Ogawa (Unplugged).
All rights reserved.
Written by(福嶋真砂代)

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2006-04-27-THU

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