OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.62
- semantic transcoding 4 -


●研究者の使命…?

誰かに鑑賞してもらうこととは、
 自分が社会的に認められること、
 社会に対して自分をさらし、
 挑戦すること、
 そこで生れる交流こそが、
 自己と他を高め合う、
 創造の場となりえるのです。


ヘッドヴィック ヘードクヴィスト
ジャーナリスト@スウェーデン

Swedish Style in Tokyo 2001

この10月、Sweden Style in Tokyo 2001という
スウェーデンのカルチャーイベントが
都内のおしゃれなスポットをジャックして
元気いっぱいに展開していたのですが、
そのオフィシャルプログラム掲載の言葉(↑)。
ちょっとグッと来たのでご紹介しました。

スウェーデンがまるごとやって来た!みたいな
このイベントは、
とても豪華なコンテンツラインナップで、
IT、音楽、ダンス、ファッションショー、
建築、ファニチャー展示とか、
誰でも気軽に“今の”スウェーデンに
触れることができてナイスでした。


Swedish Fashion Show @Spiral/photo by mf

北欧の、成熟した生活と文化の
大人な感じの楽しみ方を味わうよい機会で、
私もスウィートで本格派スウェーデンジャズの
"Sweet Jazz Trio"コンサートを聴いて
心をうるうるさせてもらったりしました。
タック・ソー・ミュッケ!!

さて、研究者も究極のところ
アートを追求しているアーティストである、なんて、
ずい分前に連載した「大丈夫な理科系の対談」
センタンのボスと「ほぼ日」のボスが
話していたのを覚えていらっしゃいますか?

アーティストであることは
実に、上のヘドヴィックさんの言葉を
大胆に実行している人たちなんだなぁ
と、しみじみ思う秋の夜ふけ。

長尾さんが
「研究者としてはあと5年」なんていう
メジャーを持っていると聞いて
一瞬、びっくりしたんですが、
昨日深夜眠れなくてふとつけたTV。
NHK教育の
「老い」をテーマにした番組だったと思うけど、
73歳の数学者の森 毅さんの
すごい含蓄ある言葉が耳に飛び込んできました。
はっきりとした言葉は覚えていないのですけど

「研究者としては、
 20代30代の考え方というものがもっとも大事で、
 そこで決まるんです。
 40代以降は
 それをまとめあげる作業が続くわけですね。」

というようなことでした。
それは学問の世界だけでなく、
どんな世界にも当てはまるのじゃないですか…
と森さん。

長尾さんもそろそろ自分の生涯の研究について
「決まる」ところを
通り過ぎようとしている感じなのでしょうか?

「トランスコーディングの話は
 みんなそろそろ飽きてきたころでしょ。
 あと2、3回で終わりにしましょう。」
と長尾メールが今日届いたのですが、
飽きました?
難しい概念ではありますね。
それは、今までの紙とか放送とか
コンテンツの責任は誰にあるのか」が
はっきりしていたメディアの時代には
無くてもよかった概念なのですから。

セマンティック・トランスコーディングの概念は、
全く新しいインターネットという技術が
生活のインフラとして定着していく
この「ブリッジ」のような劇的な時代に、
必ず考えるべき、
電車で例えると、車両と車両をつなぐ
「連結部分」のような役割を
果たそうとしていると想像します。
次の世代へうまく渡すための研究者の使命か…?

●あと5年…。
ナガオ 僕らは、
少なくとも、A.I.の研究者は、
知識をどう作っていくかとか、
インテリジェントにしていくには
どうしたらいいかを考えるべきですね。

僕はその時機に来たというふうに
思っているんですよ。
だから、あと5年。
2005年までの間に。
せいぜい僕が現役で研究できるのも
その程度のものですから。
マーシャ えー?あと5年ですか?
(注:長尾氏は30代後半です。)
ナガオ そんなもんですよ。
マーシャ そーですかねー。エー?
ナガオ そんなもんだと思うな…。
だとしたら、その5年。
ひじょうに重要なことに使いたいじゃないですか。
有意義なことに。
マーシャ そりゃ、もちろん!
ナガオ それが、今やってる
アノテーションの話なんですよ。
それだけは、絶対にやらなくちゃ
いけないと思うから。
マーシャ はい。
ナガオ ま、失敗に終わっちゃうかもしれないけど(笑)。
マーシャ ふふふふ。

●ブロードバンド時代にとても大切なこと。
ナガオ だって理想通りに行くなんて
始めから思っちゃいないから。
でもやるだけのことはやっとかないと
あとで後悔するからね。
マーシャ はい。

それでそれで、
アノテーションとトランスコーディングの
次のターゲットって、何ですか?
ナガオ うーんとねー。
ま、もちろん、テキストコンテンツの
トランスコーディングは
当たり前になって…。
次はマルチメディア。
マーシャ そうか。
ナガオ 僕の予測は、ブロードバンド時代が来て
常時接続の時代が来るでしょ。
光ファイバーが家に入ってくるとか。
それは技術の問題だから。
そんな大変じゃないと思うんですよ。
マーシャ ええ。
ナガオ いいものは、いいに決まってるんで。
現在(いま)のように、電話で接続して
ISDNにしてもひじょうに遅いし、
あんなので我慢出来る人なんて
そんなに多くないから。
マーシャ うんうん。
ナガオ で、ワールドワイドウエイティング(WWW)
と呼ばれてる。
マーシャ あははは。そのとおり。
ナガオ みんなが待ってる。
マーシャ 待ってる。
ナガオ だからそんなんじゃダメなわけですよね。
マーシャ そうだ、そうだ。
ナガオ それでスピードが必要になってきて
ADSLとか、
ファイバートゥザホーム(FTTH)とか
出てきて。
それ、当然!当然だと思う、それは。
マーシャ はい。
ナガオ だからそういうのを予測するのは
そんなに大変なことじゃないんですよ。
もちろん、それは大変な技術の蓄積が
あるってことはわかりますけど。
とりあえずそんなことはどうでもよくて。

その世界が来るっていうことが
確信できた時に、
じゃあ、ソフトウエアは?
コンテンツはどうなるか?

っていうところですよね。

(つづく。)
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ホントに、
Web誕生の頃に比べて
ネットワークは高速大容量になったし
それとともにWebというものの価値や性質は
日々、めくるめく変化をしてますねぇ。
その変化がまたおもしろい!
だけど、 変化に伴う技術の発達が無かったら
というより、もっともっと
変化の先回りをした技術が出てこないと
その価値を存分に活かしたり、
そこで起きる問題に対応した使い方が出来ない。

そして人間ももちろん、Webの成長とともに
成長してるんだと思うんです。
じゃなきゃツールを使えない。
ま、火を発見した原始人のような感じ?

技術と人間のインテリジェンス競争というか
つまり、お互いの成長の速度に
見合った技術のサポートが必要になる
ということなんだと思います。
A.I.の役目ってそういうことなんだと思うのです。

次回は「誰もが発信者になれる危険性」
について、さらに迫ります。
こ、こわいぞ〜ぉ!

トランスコーディングの解説サイトも読んでね。


marsha

2001-11-02-FRI

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