OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.56
- being intelligent -


こんにちは。
ロボットの話を続けます。

   QB       Pong
QBPong

長尾さんはロボット開発の現状について、
悩んでいることがあるみたいなんです。
それを少しだけ探ってみました。

ロボット開発には考え方によって
いろんな流れがあるようです。
それぞれが成果を発表しているのですが
どうしても人々の注目は
所謂「楽しい」「かわいい」
ロボットに集まりがちのようです。
知的な働きをめざす長尾さんのロボットは
どうしたらもっとアピールが出来るのでしょう?

それから今日の話の中に
エージェントという大事な言葉が出てきます。
エージェントは、これからの
インテリジェントコンピューティングを
語るときには欠かせないコンセプトです。

つまり、人間に代わって知的な処理をしてくれる
人工知能を備えたソフトウエアモジュールを
「エージェント」と呼んでいます。

例えばWeb検索のときに活躍する
「サーチエンジンロボット」。
これは、自分の代わりに世界中のサーバを飛び回って
目的に合うサイトを探し出してくれる
エージェント技術のひとつです。

そして、エージェント技術は
長尾さんの専門分野でもあるし、
現在の研究の土台でもあります。

他の楽しそうなロボットも紹介してもらいながら
話を聞いてみました。

ロボットの流れが…。

マーシャ

ロボフェスタに出るんですよね
このライバルくんたちも。

ナガオ どちらも来ますね。
それでPongより全然人気があるんですよ。
マーシャ ふーん。
ナガオ 身体があるから。
身体と腕があってね。
マーシャ 触れるか触れないかの違い?
ナガオ そう、触ったり、なでたりできて。
なんか言うんですよ、ロボットが。
「うれしい!」とか言ったり。
マーシャ それは、ちょっと強いね。
子供に喜ばれる!
ナガオ ロボットの流れがおふざけ系に行ってるんです。
メディアがそれを捉えて
おもしろく報道するんですね。
僕はそういう流れが、イヤなんです。
でも、イヤだって言っても
そういうのは出てきますからね。

役に立つロボットって?

マーシャ でもQBとしても
何か対策を立てなきゃいけないよね。
ナガオ うん。今、役に立つロボットって
あんまりできないじゃないですか。
ヒューマノイドなんてやられていますけど、
あれは結局あまりたいしたことできないし。
そういうもろもろのことを考えるとですね。
僕は、役に立つロボットっていう方向に
行ってないいんじゃないかなと。
マーシャ 役に立つロボットっていうのは?
ナガオ 僕は、役に立つっていうのは
知的な部分があって
人間の処理を代行してくれるっていう
意味なんですけど。
マーシャ エージェント?
ナガオ そう。
だからエージェントっていうのは、ずっと
そういうことをやろうとしてたんですよ。
マーシャ そこにQB登場ですか。
ナガオ でも、同じじゃん? って
言われるよ…QBだって。
QBだって知的な部分っていうのは、
どうしてもうまく強調できないから。
マーシャ うーん。
ナガオ QBがいかに知的かっていうのは
表しにくいですよ。
ずーっと使っていればわかるけど。
マーシャ しかも、デモが地味になるしね。
ナガオ そうそう。
Webやメールの読み上げは地味ですね。
マーシャ 子供にはあんまり受けが
良くないかもしれないね。
ナガオ そうですよー。
どうしてもそのイベント向けの
内容になっちゃうわけですよ。
イベント向けの内容になると、
ほかのロボットとの違いを
積極的に表現できなくなっちゃうんです。
マーシャ うーん。そこだけ見るとねぇ。
つづく。
* * * *

センタンにも研究用のAIBOがいてくれますが
それで随分癒されている人はいます。
居るだけでいいロボットっていうのも
大事だと思います。

だけど知的なロボットは
これからの社会でとても大事な役割を担うことも
明らかだと思うんです。
それだけにもったいないとも思います。
知的であることをデモで見せるっていうのは難しい。
人間だって、知識をひけらかす人は
「やーね」とか言われちゃうしね。
だからみなさん!ロボフェスタ関西
行って、ぜひQBを見てきてください。
長尾さんの苦労とかQBのおもしろさを
発見してください。Pongちゃんも居るかも…。

さて、次のお話は「トランスコーディング」です。
Webに流れる大量の情報を、いかに知的に(!)利用するか。
今度は人間のインテリジェンスが問われます。
そのためには、何が必要なのか。
また長尾さんの話を聞いてみようと思っています。

…が、その前にセンタンでは、
またまた AITECセミナ2001というイベントが
もぞもぞ動き出しました。
内田さんもなんか話したそうだし(笑)。
長尾さんのお話は1回お休みして
センタンの話をしましょう。


marsha
illustration by 片桐由希子さん(慶応義塾大学)

2001-07-13-FRI

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