OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.37
- homepage or website? -


こんにちは。
うっとうしい暑さの中にも
とんぼが飛んでたり、
ふと秋の気配がする頃となりましたねぇ。
夏が終わるときが1年でいちばんしょんぼりと
してしまう季節なのでして…。
やっぱりしょんぼり過ごしています。

それにしても今年の夏は異例な忙しさを味わいました。
学生時代よもう一度! ごとき宿題に次ぐ宿題攻撃を
こなしてるうちに「あれ?終っちゃうの?」
と一抹のさみしさもやってきます。
一部の方を除きわかんない話で申し訳ないっす。

さーてさて、今日は
あなたの作っているインターネット上のページは
“ホームページ”か”ウェブサイト”か?
と聞かれたらどう答えます?
というお題から。

こんな話を外で聞いてきて、ひさしぶりに
自分の仕事関連の話などをしたいと思いました。

センタンのウェブページのデザインを考えたり
コンテンツを作ったり、メンテナンスをしたりするのが
だいたいの私の仕事のようなんです(弱気だなぁ)。
だんだんそうなりつつあります。恐いことです。
ほとんどホラーです。文系の私がそんな…。

こんなタイトルで書いていたりすると
バリバリ理系という大間違いの印象を与えてしまって、
むちゃくちゃ恥ずかしかったりします。
かなりの文系度を誇る私が、Web制作者だなんて
世の中、わかんなくなってきました。

ま、そういうことはおいといて
ある日本のウェブコンテンツ制作会社の社長A氏が
このようにおっしゃいました。

「えー、わが社では、
“ウェブサイト”と“ホームページ”は
別物として扱っています。

つまり、なんらかの明確な目標があり
それを達成するために戦略的に作られたものを
“ウェブサイト”と呼びます。

また、単なる広告媒体の一環だったり
データペースの代わりだったり
明確な目的がなく、
いわゆる“どうでもよいもの”として作られているものを
“ホームページ”と呼んで区別しているわけです」

あくまでもA氏の会社の社内での呼び分けの話なのですが
そういわれるとねぇ…。そ、そうなの? ドキッ!

そういえば、この呼び名っていうのが
まーいろいろあって
最もポピュラーなのが“ホームページ”で、
他には、“WWW”(ダブダブダブ)と呼ぶ人もいるし、
ずぱり、“インターネット”と呼んでしまう人もいるし
“ウェブページ”とか“ウェブサイト”というと
なんかちょっと専門的な匂いがしますかねぇ?

同じ約束事をもつ、同じインターネット上の画面なのに
こんなにいろいろな呼び名があって、しかも
呼び方によって区別されてきているなんて…。
不思議ですねぇ。

“ウェブサイト”っていうのは
「くもの巣のようなネットワーク上のある地点を指す」
より専門的な用語って感じですね。

一方、“ホームページ”は、
「拠り所とする場所、私の家、部屋」みたいな
心情的な名称のような感じですか。
こちらの名前の方が浸透が早かったですね。

このA氏の社内での呼び分けは、言い換えれば
超商売主義、あるいはビジネス傾倒な目的を
もつものが“ウェブサイト”であるのに対して
もっと私的だったり、趣味的目的を
もつのが“ホームページ”で、
つまり、取り引きの対象にはならないんですよ
と言いたいのだろうと思います。

社内潜入したわけじゃないので、
ほんとうにそう区別して呼んでいるのかどうか
詳しいところは不明ですが、“ホームページ”の定義が
こんな風に変化を起こしているのはおもしろいですね。

実はA氏はこの呼び名を使い分けることで
日本の会社のITの捉え方の現状に
釘を刺したかったようでした。

つまり
ある大手企業がりっぱなページを作って
うちはIT対応万全です、っていう
看板を掲げたとします。

ところが、その会社のページの中をを探しても探しても
info@xxx.co.jp に該当する窓口が見つからない
ってことが多々あるそうです。
消費者がページを見て
この会社のこの製品について
ちょっと意見言いたかったのに残念、となるケース。

あるいは、幸い info@xxx.co.jp が見つかって
質問メール送ったのに、なんの返事もこない、
っていうケース。

A氏はその返事が来るまでのタイムリミットを
2時間〜5時間長くても一晩、と設定していました。

つまり、これらのケースからわかることは
「返事」を出さない会社のシステムそのものに
問題がある、ということだと指摘します。
そういう会社のページを“ウェブサイト”とは呼び難い。

インターネットに参加することによって
何をしようとしているのか?が見えない会社。
コミュニケーションをしようという意思が見えない会社。
それだったらページを作ること自体を「やめろ!」と。

ま、確かにコストの無駄だわね。
「one-to-one のサービスができないのなら
 なんでサイトを作る必要があるのか?
 従来の紙やテレビ広告でいいじゃないか」
厳しいウェブ競争での企業の生き残りの難しさを
指摘しているように思います。

最近、アメリカのインターネット関連会社がどんどん
日本に上陸してきています。
彼らの仕事はすでに、クライアントと会社は
インターネット効果についてはお互い了解済み!
という前提で進められているようです。

その上で、インターネットで何をするかを
クライアント企業と、こんな流れで
とことん話し合うことから始めるそうです。

1.ビジネスプラン
2.プロジェクトの定義
3.デザイン
4.サイトの開発
5.立ち上げと評価

こんな段階を一つ一つ確実に経て、
サイト構築をしていくのだそうです。

ありゃー! です。
日本の会社の多くは、おそらく
「1.ビジネスプラン」を話し合う段階で
つまづいちゃうんじゃないかって
思ったりしますけど、どうなんでしょう。

つまり、インターネットは会社のシステムを
根こそぎ変えるという前提を受け入れてるか?
それで変える覚悟があるの?ないの?
あるとしたらどういう方向に変えるか?
そんな問題が突き刺さってくるのが
「1.ビジネスプラン」なんですね。

どう変わるのかを説明するのは難しいけど
つまり、責任の所在を明らかにするとか
説明をする準備がある、とか
決定のスピードを速くするとか
IT化に伴う組織の構造変化を受け入れる意識
が一番大事だろうと思います。

ここをクリアしとかないと、作ったあとで
info@xx.co.jp に流れてくる
顧客の親切で大切なご意見メールに
どう対処したらいいかの流れが
できてないことになってしまうのです。

それで、そのアメリカの会社は
「2.プロジェクトの定義」のところで
企業の競合状況を研究するのだそうです。
その業界で一番儲かってるとこはどこかとか
なぜ儲かってるのかとか、ほかの業界に競争相手は
いないのかとか。ありとあらゆる要素を洗い出す。

そうやって
1と2のレベルで徹底的に調査・分析をして初めて
ウェブのデザインをどうしようとか、
機能をどうつけようとか
っていう具体的なレベルに入るのだそうです。
完全なるマーケティング戦略の実践です。

ページひとつ作るっていうのは大変なことっすねー。
これぞ、ウェブサイト!?って感じっすねー。
ただ 絵と字並べて「ふふふん」って
作ってる場合じゃないっていうか、それは
“ホームページ”なのねん。そうですか。

いや、それも楽しいのだ。
そういう無駄なスペースがあるからこそ、
インターネットの可能性は無限なのだ!
と思ってる一人ですが
企業は違うレールを引いているのですね。
この無限のネット宇宙の中に。
でも、考えてみればレールも無限に引けますね。
(しばし、ぼーっと考える)

はっ!
突然、我に返りました。

弱小20名足らずのセンタンのサイトは
センリャク的っていうよりは
レンラク的にになってしまうんですが
(また言い訳と取られると辛いな…)
でもやっぱり、海外からの
「おたく、なぜこの情報載せてないの? ツンツン」
のメール攻撃には、震度5の揺れくらいきますね。

どうしよう、どうしようとひと騒ぎが終ると
「確かに海外渉外体制が未だに出来ていなくて
 あいすみません、はや」と謝るわけです。
やばい! めっちゃ“ホームページ”だ。

著作権とか法的な事が絡んでくるときは話は複雑で
まーしゃとしてはアンタッチャブル(にしたいような)
部門なわけですが、それはとても重要なところで
解決を急がなきゃならないんですよね。

と自問自答をしてもしょうがない。
つまり、これから自覚しなきゃいけないことは
バッリバリにIT武装した、
日本語なんかへっちゃらにあやつる
金髪碧眼(必ずしもそうではないけど)の、キレものの、
しかも落語みたいにおもしろいプレゼンをやってのける
外国の強豪が、
つい“隣の”競争相手なんだなぁという現状なんですよね。

うゎ!ま、がんばりましょう!

marsha, illustration by chika

2000-09-06-WED

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