ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

8月7日 フォーサイド


さあ、いよいよ砂漠を出るぞ、と思ったが、
なぜかハイウェイの脇に賭博風の遊具があったため
予定外にそこで時間を費やすことになった。
小銭にうるさいというわりに、
あっという間に50ドル以上突っ込んでいる僕である。
しかしながらとうとうスリーセブンはこなかった。
にしても、なんで
5回そろったうちの4回が黄色いやつなんだよ。

ともあれバス停にて待つ僕である。
来たバスがどこに向かうかというと、フォーサイドである。
高層ビルの建ち並ぶ大都市、フォーサイドである。

とにかく僕は周囲にフォーサイドが好きだと公言していた。
なにしろ9年前の話だから、いまとなっては自分がなぜ
フォーサイドが好きだったか詳しく覚えていない。

軽快にバスは行く。フォーサイドを目指して。
トンネルをくぐり、大きな橋を渡り、大都会へと向かう。

着いたその場所で、やはり僕はわくわくしてしまう。
やっぱりこの街はとてもかっこいいと思う。

特長ある斜めの道が、斜めのまま画面を対角線に横切る。
2本の道が交わる四つ角は、なんとも刺激的な印象がある。
恐竜博物館の細やかな質感。
ホテルの入口の上にある文字の独特の配置。
デパートの前の歩道の世にも素敵な格子模様。
そしてモノポリービルの圧倒的なスケール。

僕は、この街がまず、絵として好きなのだ。
純粋に好みの話だと断言するが、
この街のグラフィックはすばらしいと僕は思う。

フォーサイドにかぎらず『MOTHER2』の
グラフィックを褒めるとき、
僕はしばしばもどかしい思いをする。
なぜなら、ともすればそれが
懐古主義のように響いてしまうからだ。

やっぱりゲームは2Dだ、とか、
ポリゴンよりもドット絵だ、とか、
そういった次元で僕は好みを語りたいわけではない。
フォーサイドの街は、絵として素敵だと思う。
新しいとか古いとかでなく、
時代とかスペックとかでなく、
この絵を観て僕はすばらしいと思う。
ほかのゲームにこういった特別な思いを抱かないのは
『MOTHER2』のアートディレクターである
大山功一さんが、この1本以外、ゲームのグラフィックを
手がけていないことと無関係ではないと思う。

僕の好きな大都市には大きな劇場があって、
そこでまたあのイカしたやつらが演奏をしていた。

「ナイスな くそったれどもに
 さいこうの ばくだんを 
 おみまいするぜい!
 ンーーーーー!
 ぶっとばしてくれい!
 トンズラ ブラザーズ バーンド!」

トンズラブラザーズの歌と演奏は、
ほんとうに鑑賞に値すると僕は思うのだけれど、
これもまたちょっと伝えづらい話だ。
ほんと、僕は彼らのファンなんだけどな。

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2003-08-08-FRI


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