ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

6月26日 『MOTHER』を聴きながら歩く


電車のなかで『MOTHER』をプレイしている。
会社へ着くまでに一度乗り換えなくてはならない。
乗り換えるときにたっぷり5分ほど歩く。
東京の地下鉄は、駅と駅とが離れていても
通路で無理矢理につながっていることが多いのだ。

歩くあいだ、
ゲームボーイアドバンスSPの電源は切らない。
フロントライトのスイッチは切るけれど、
電源を入れっぱなしで僕は歩く。

ヘッドホンもかけっぱなしで歩く。
するとどういうことになるかというと、
その5分ほどのあいだ、
僕は『MOTHER』の音楽を聴きながら
地下通路を歩くことになる。

これが思いのほか楽しい。

たとえば、フィールドに流れる
優しい音楽を聴きながら地下通路を歩く。
マジカントのふわふわした音楽を聴きながら
人混みに紛れて歩く。
デパートの軽快な音楽にのって
東京の地下の道を歩く。

『MOTHER』のBGMが、僕のBGMになる。

実際、僕の歩調はその音楽のテンポに支配される。
興味深いことに、
いまのところフィールドの音楽がもっとも歩きやすい。
そういうふうにきちんと
つくられているということなのだろう。

歩く僕は手のなかに
パタンと閉じたゲームボーイアドバンスSPを握っている。
それはまるでMP3プレイヤーのようで、
知らない人が見たら
ふつうに音楽を聴いているとしか思えないだろう。

ふだん、ぼくは移動中に音楽を聴かない。
何度か試したけれど、なじめなかったのだ。
けれど、『MOTHER』の音楽を聴きながら歩くことは
ちょっと気に入っている。

ふつうの音楽とそれがもっとも違うのは、
終わりからはじまりへとループするということである。
『MOTHER』のBGMはゲームミュージックで、
ゲームミュージックはその性質上、
終わらずにくり返すようにできている。
個人的な印象だけれど、それは歩くときに都合がよい。

『MOTHER』のBGMが、僕のBGMになる。
東京の地下通路はとても殺風景だけれど
そのようにして歩くと
少しだけ風景の印象が変わってくるから不思議だ。

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2003-06-27-FRI


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