KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【はばかりながら、トイレの話】

オラ!
日本も寒くなったと聞いたけど、
半月ほど前から、スペインもすんごく寒いのだよ。
いまも、部屋中の暖房全開で書いてます。
ただいま午後1時、外の気温は4度。

11月に入ってから、
北部の山が多い地域はもちろん、
マドリーから車で3時間ほど北のバジャドリー
(城選手が在籍していたサッカーチームのところ)でも
雪がチラホラ。

アフリカの隣のスペインでこうなのだから、
ヨーロッパって、ほんとうに冬が厳しいのだと思う。
たとえば、夏は40度を超えるここスペインでだって
多くの家に冷房はないけれど
ほとんどの家や建物に暖房設備はあるくらいだもの。

暖房の主流は、ガスなどで温めたお湯を流すパネル式。
<画像: Latin45.jpeg>
パネルは各部屋にあり、必要に応じて栓を開閉する。
モチやスルメは焼けないけれど、
パネルの上に洗濯物をのせておけば
乾燥機兼加湿器になってくれるのがとてもうれしい。



もうひとつうれしいのが、
トイレ(兼お風呂)にもパネルが置いてあること。
バスルーム全体を温めておけば、
シャワーを浴びるときもそれほど寒くないし、
ウン○するときも心ゆくまでふんばれるってもんだ。


ということで、今日はトイレまわりの話を。
外国でトイレをするのは、一苦労。
じゃない?

さすがにいまでは日本でも洋式トイレが普及したから
和式便所にかがむ方向で便座に腰かける、
つまり洋式便器のフタを抱きかかえるように座るひとは
いなくなったと思うけど、
まずこの"向きの違い"が衝撃的だった。
子どものころは、和式ボットン便所だったからね。
和式では便所の奥を向いてひそやかに用を足してたのに、
洋式になったら入り口のドアを向いて正々堂々とやれと。
もしうっかり鍵を閉め忘れて誰かがドアを開けた場合、
和式だったら相手が先に気づいて「あっ失礼」だけど
洋式では同時に目が合ってしまうから
ニッコリ笑って「ハロー」とでも言わなくちゃならない。
なるほどこいつは洋式だなぁ、と感動したもんさ。

スペインでも、もちろんトイレは洋式タイプ。
ただ、スペイン領でも、
アフリカはモロッコの一部にあるセウタという町では
ぜんぜん違うかたちのトイレを見かけた。
ドアを開けたら、便器がない。
ただ足元に、タテヨコ50pくらいの石の板があった。
この板には対角線をむすぶラインで1本の溝があり、
よく見ると溝に向かって全体に傾斜がつけられている。
溝もまた傾斜していて、その先に丸い穴があいている。
液体はまず溝に、やがて穴に流れるという仕組みらしい。

とはいえ、立ったままか、座るのかすらわからない。
だから、どっちともいえないスタイルで用を足してみた。
具体的には想像に任せるけど……、男の子になった気分。
子どものとき、外でトイレした記憶も思い出したりして。
あははは。
このセウタのトイレに紙があったかは覚えていないけど、
水洗だったことは覚えている。
なんせ水の勢いがものすごく強くて、
はいていたジーパンがざんぶり濡れてしまったから。
いま考えると、まったく違う方法で
用を足してしまったのかもしれない。


さすがにこれ以外は明らかな洋式トイレばかりだけど、
それでも戸惑うことはたくさんあった。

とても綺麗なトイレで、
ごく順調に座って用を足してという課程をこなして、
水を流すというときに、あっと慌てることがある。
水を流す方法が、わからないのだ。
もちろん「大」「小」という2方向レバーはない。
(あれはあれで、外国のひとは戸惑うだろうなぁ)

水が貴重な地域では、便器の横にごみ箱が置いてあって
「紙は、ごみ箱へ。
水は、大便のときだけ流すようにしてください」
という注意書きがあった。
同行者からも注意されてじゅうぶんわかってたはずなのに
ついついクセで紙ごと水をじゃっと流してしまい、
しまった! と猛反省したこともあったなぁ。


ふつうの水洗トイレでも、水を流す方法はさまざまだ。
よく見かけるのが
貯水タンクの上の丸い取っ手をつまんで引っぱる方法と
同じく丸いボタンを押す方法(我が家はこれ)。
これ、はじめてだとなかなか気づかなかったりするのだ。

ところがダンナさんの友人宅で用を足したとき、
どうしてもそういう部分が見つからない。
といっても、
デパートやホテルなどで見かける
便器の側面にある手で押すレバー(姿勢が楽)でもない。
最新式のドライブインなどにあるセンサー式でもない。
旧式のドライブインでみかけた
足元のゴム球を踏む方法(手が汚れない)でもない。
便座から立ち上がり、周囲をぐるぐる見てもわからない。

仕方ないから、ダンナさんを呼んで
「あんね、どうやって流すかわからんと」とささやくと、
ゲラリと笑いながら便器の上のあたりを指差した。
天井近くに貯水タンクがあって、
そこから50cmほどのチェーンがぶらさがっている。
なんだ、ちょっと目線を上げるだけでよかったのだ。
「ありがと」と水を流しに戻ったけど、
どうも"チェーンを引っぱる"という行為からは
どうしても"頭上にたらいが落下する"しか連想できない。
だからギリギリまで離れた場所から、チェーンを引いた。
たらいも小麦粉も、落ちてはこなかった。ホッ。


スペインのトイレで水を流す方法は、ざっと以上。
ただし、ほかにも気をつけなければならないことがある。

まず、紙がないところが多いこと。
トイレで会った女の子に「あっ、そこ紙ないよ!」と
注意しても「あらそう」と平気で入っていくので、
スペイン女性はすごい隠し技を持ってるのかもしれない。
隠し技がないなら、紙は持ち歩いた方が無難である。

次に、便座がないところもたまに遭遇するんだよなぁ。
そういうときは、中腰スタイルがいちばん。
ただこれ、腰痛もちの私にはけっこうしんどい。
日々の筋力トレーニングが必要だと痛感するひととき。
ちなみに、便座がないと紙もないことが多いので、
体力と知力の限りを尽くして用を足さねばならない。

さらに、ドアーの鍵が壊れていることも多い。
歌いながら用を足す、など、
これも各自の工夫で乗り切ることが望まれる。
いちばんいいのは友人に見張りを頼む、だけど、
友人がスペイン女性の場合は覚悟が必要。
というのは、日本の女学生は連れションしても
さすがに用を足すときは別々の個室に入るけど、
スペイン女性はいっしょの個室に入ってくるのだ。
べつに、変な目的はない。
ひとりが用を足している間も、おしゃべりをするだけ。
……なんだけど。
やっぱり私、抵抗あってダメっす。


はばかりながら、トイレの話でありました。
ちなみにスペインでは
男性用は"Caballeros"、女性用は"Sen~oras"。
もし"M"とあったら
それは"Men"ではなく"Mujer"(女性)なので、
くれぐれも気をつけてくださいね!



※ スペインをテーマにした写真展が開催されます。
作品は「スペインが好き」というだけで集まった
日本各地の愛好家やスペイン在住者によるもの。
入場無料なうえ、スペインワインのサービスあり。
とにかくスペインってやつを感じてほしい、と。
よかったら、ぜひ立ち寄ってみてくださいっ!

日時 12月6日(木)〜12月12日(月)
11時〜19時 (最終日は17時)
場所 原宿、 ギャラリーハセガワ
企画 サラピパス実行委員会

2001-11-25-SUN

BACK
戻る