明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第32回 『超ハイグレードなフィギュア』




ボーズ いや、まずはこれを‥‥。
── 言われなくても、質問させてもらいますよ。
なんですかこれは?
なんでこんなデカい箱が
部屋の真ん中にあるんですか?
ボーズ フィギュア。超ハイグレードなフィギュア。
『死霊のはらわたIII』の。
すげえよくできてる。デカい。
── だから、どうしたのよ?
ボーズ ‥‥ビンゴで当たっちゃったのよ。
── ‥‥まったく。
ボーズ いや、竹中(直人)さんの映画に
ちょっと出たんだけどね‥‥。
終わったあとに打ち上げがあってね‥‥。
── ‥‥当てちゃったんですか。
ボーズ ‥‥当てちゃったんですよ。
── ‥‥どうすんですか、こんなデカいもの。
ボーズ ‥‥どうすりゃいいんだろうなあ。
だいたいさ、結婚式の二次会とかでもさ、
当たんないじゃないですか、ビンゴって。
── うんうん。それ、何人くらいいたの?
ボーズ 100人くらいかなあ。
── ‥‥ラッキーな男だなあ。
ボーズ みんながつぎつぎに当たってるなかでさ、
「当たんねえなあ」なんて言いながら、
飯とか食ってたんだけど。
そしたら、「当たりましたよ!」って言われて、
「うそ? なにが?」って見てみたら、
ドーーーーン! とこれが。
── あはははははは。
ボーズ 「これっスか、マジッスか?」って。
またさあ、これがさあ、
竹中監督が出した景品なのよ。
── メインだ。一等賞だ。
ボーズ 一等賞なのよ。だからさ、せめてさ、
こう、映画の功労者に
当たればいいわけじゃない?
スタッフとか、役者さんとか。
── それをチョイ役で出たゲストが(笑)。
ボーズ そうそうそう(笑)。
「やっちゃったよ、オレ」みたいな。
── 「すいません」だ。
ボーズ ほんとごめん。すいません。
いちおう、中身、見てみる?
── そりゃもう見てみますよ。
ネタとしては申しぶんないですよ。
ボーズ いや、これは捨てないよ?
── そりゃそうでしょう。
こんなん、ポイって気軽に捨てられないですよ。
しかも竹中監督にもらったものだし。
ボーズ ものとしてすっごくうれしいんだよ。
ただ、なにしろデカいからねえ‥‥。
ほらほら、ここ見て。ナンバリング付き。
── ‥‥貴重は貴重なんだなあ。
欲しい人は欲しいんだろうなあ。
ボーズ や、ぼくもうれしいんだよ、これ。
実際、ぼく、この映画好きで、
レーザーディスクも持ってたくらいなの。
なんだけど、これは買わないじゃん?
よすぎて買わないっていうかさ、
これはオレが買っちゃダメだろ、みたいな。
── コアなファンの持ち物というか。
ボーズ そうそうそう。
── とにかく出してみましょうよ。
ボーズ そうね‥‥よいしょ、ちょっとこれ、
ひとりじゃ出せないんだよな、
‥‥よいしょ、そっち引っ張って。
── はいはいはい。
ボーズ せーの。
── せーの。
ボーズ (ガサガサガサガサ)
けっこう厳重に‥‥。
まあ、こんな感じなんですよ。
── ‥‥うわあ。
ボーズ こんなすごいやつなんだよ。
すげえよくできてるんだ。ほんとに。
これがジャケットっていうか、
メインのシーンのまんまで。メインの。
たぶんこれ‥‥すげえ高いと思うんだよね。
── 高そうだねえ(笑)。
ボーズ すごい高いと思うよ。
気軽に開けちゃダメでしょうっていう
感じのものだと思うんだよ。
なんかもう、オレの手に負えないもの、
みたいな感じでしょ?
── あははは。
ボーズ ちゃんとフィギュアとかが大好きで、
ショーウィンドウとかがある人じゃないと
持ってちゃダメ、みたいな。
── 飾れないね、これ。
ボーズ 飾れない、飾れない。
けっこうつくりは繊細だしね。
── コパン(ボーズさんの愛犬)が
じゃれたらえらいことに。
ボーズ なるなる。
かといって捨てられるもんじゃんない。
── じゃあ一生持っておくものとして。
ボーズ うん。宝物としてずっと持っとくもの。
だから、もう、なに?
「おまえにモノを捨てる連載なんて
 無理なんだよ! やめちまえよ!」
みたいな、象徴的なもの。
── そういうものを運命的に
呼び寄せてしまったと。
ボーズ そうそうそう(笑)。
── なるほどねえ‥‥。
しっかし、これ、
ほんとよくできてんなー。
ボーズ すごいよね、ほんと。
── うはははははは、
アップで撮影すると
エラいことになってるよ。
ボーズ どれどれ?
── ほらほら。
ボーズ あはははははははは!
── さらに寄ると、もっとすごい。
ボーズ もうこれ、絵だ、絵(笑)!
── CGだ、CG(笑)!
ボーズ いや、まいったな、ほんと。
一生持っとくしかないよ、これ。
── ここまでくると、
オマケのフィギュアとかじゃなくて、
ふつうに鑑賞するものとして
存在意義が出てくるよね。
ボーズ あるあるある。もう、彫像だからね。
── けどさ、10年くらい経ったあとに
一軒家とか建てたとするじゃない?
そのとき、フィギュア、飾りたい?
書斎にショーケースとか設置して。
ボーズ あああ、そういう話ね。
そっち行く人、いるよね。
── うん。べつに、一軒家とか建てなくても、
ショーケース志向の人っているじゃない?
集めたGショックをずらっと並べてみたり、
サイン入りユニフォーム飾ってみたり。
ボーズ ショーケースなあ‥‥
ショーケースじゃないかもしんない。
── じゃないよね。
ボーズ うん。こういうのを堂々と
部屋に飾れる人になるとは思えないなあ。
やっぱりこう、なに?
テレビの上とか、家具の隙間とかに
オマケフィギュアを飾る程度なんだよなあ。
── ってことは、なんだ、やっぱり、
こういう、ハイグレードなフィギュアをひとつ、
すげえ欲しくて買うとしたら、
「飾る自分」っていうあたりまで
ビジョンとして持っとかないと。
ボーズ そうじゃないと買わないでしょ、これ。
だから、自分ちにこれが来ると
あらためてわかるよね。
自分がこういう人じゃないんだなってことが。
── 雲竜がせいいっぱい。
ボーズ 雲竜?
── 雲竜。
ボーズ あ、これか。
そうそう、雲竜で十分ですよ。
あとこの横のやつもいいでしょ?
『のび太の恐竜』。
── ぴー助が公園の池から
夜中に家まで来ちゃう場面ね。
ボーズ このシーン、好きなんだよ。
のび太が熱出して寝ててね、
そこにやってくるっていうね。
── 名作ですね。
ボーズ 名作です。
── まあ、そういうフィギュアを
机のとこにちょっと飾っておいて。
ボーズ 飽きたら捨てるというね。
── それくらいがちょうどいいですね。
ボーズ はい、それくらいがちょうどいいです。

(まだまだ続きます!)

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2004-10-25-MON
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