| ノリスケ |
ちょぉっとぉ、ジョージさん、
むかし１０８キロあったってほんと！？
（今は、75キロくらい）
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| ジョージ |
そうよ、デブよっ！ デブだったの。
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| ノリスケ |
どして？
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| ジョージ |
デブ専の男とつきあってたの……。
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| ノリスケ |
それって、努力してデブになりました、
ってこと！？
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| ジョージ |
んー、努力っていうかね、
もともと肥満児だったんだよ、
ちっちゃいころ。
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| ノリスケ |
細胞が憶えてたの？
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| ジョージ |
うん。で、肥満児の時にはね、
医者に言われてたの、
このまんまいくと、この子は小児性高血圧、
小児性糖尿病、小児性腎臓病、
特にちっちゃくって太ると、
腎臓がおかしくなりますって。
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| ノリスケ |
機能障害起こしちゃうの？
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| ジョージ |
んで、痩せなさいって言われてー、
で、そんときにはねー、
こんにゃくと西瓜とスープで痩せたの。
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| ノリスケ |
うんうん。御母堂の努力があって・・・
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| ジョージ |
食事療法でね。
それでー、うんとー、
その後しばらく健康な体形保ってたんだけど、
米国かぶれになっちゃったのよ、
米国系ゲイっていうの？
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| つねさん |
マッチョ・マン。
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| ジョージ |
マッチョおねえちゃん？ たち、に、
やっぱり、なりたいわけなのよ。
で、ボディビルとかやって、
そこそこムッチリ系のいい体になって。
んで、ま、食い散らかして。
一本釣り系を、ねぇ？
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| つねさん |
フンッ（嫉）。
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| ジョージ |
で、それから、デブ好きのと、
つきあい始めました。
そしたらねえ、彼、あ、中国系だったんだけど、
英語でね、君は可愛い、可愛いけど、
もう少しふくよかだったら、もっと可愛い、
とかって言うのっ。
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| ノリスケ |
うまーい。英語的な言い方！
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| ジョージ |
あれも食べよう、これも食べよう、って、
夜中に食べるんだよ。
晩飯食べてからね、夜型の人だったんで、
ずーっとテレビとか観たり、映画観たりするでしょ、
１２時ぐらいにー、小腹が空くのっ。
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| ノリスケ |
わかる！
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| ジョージ |
んで、その時に食べる物が・・・
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| つねさん |
そうよ、そう。聞いて聞いて。
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| ジョージ |
ピーナツバターを、パンに塗って、
ブルベリージャムも塗って、
サンドイッチにしてたの。
僕一人で食パン半斤！ それと一緒に、
牛乳１リットル飲んでから寝るんだよ。
・・・そうするとね、見事よぉ、
つきあい始めた時には７５キロぐらいしか
なかった体重がなんと！
半年後に、９０キロ！
毎日毎日サイズが変わるのが分かるの。
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| つねさん |
……。
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| ノリスケ |
みるみるうちに。
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| ジョージ |
一週間前まで、通れたはずの通路が、
通れなかったりするの。
会社でね、本棚に肩当てたりとかね。
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| ノリスケ |
車幅感覚が狂っちゃったんだ。
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| ジョージ |
そうそうそう。それで、いやまずいぞー、
とか思うんだけど、もう止まんないのよ。
夜中になると、もう、ピーナツバターが食べたいの。
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| ノリスケ |
「食べたい」んだ。
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| ジョージ |
食べたいの。
もうね、最後の方はね、
ピーナツバターのサンドイッチだけだと、
もたないんだよ。
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| ノリスケ |
朝まで？
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| ジョージ |
そー、それでねー、食パンにピーナツバターと
ブルベリージャム塗るとこまではいっしょ。
それにー、オレオクッキーを挟んで、食べるの。
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| ノリスケ |
バリバリバリッ・・・
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| ジョージ |
すーっごいの。オレオ噛むときって
あご使うでしょう？
満足できるんだよ。
だけど、また高カロリーじゃない？
で１０５キロまでは行ったの。
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| ノリスケ |
までは行ったの、って？ その先は？
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| ジョージ |
そこまでは、体重計乗ったの。
だけど、こっから先は、もう、
乗るの怖くて。
でもそれからしばらく太ったから、
きっと１０８キロまでは、
太ったんだと思うんだ。
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| ノリスケ |
あ、それで、公称１０８キロに
なってるのね。
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| ジョージ |
頭の片隅には、痩せなきゃいけない、
痩せなきゃいけない、っていうのは、
あるんだよ。で、病院に行っても、
痩せなきゃいけないって言われるの。
だけど、痩せるきっかけが、持てないんだね。
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| ノリスケ |
付き合ってたから？
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| ジョージ |
ウン。で、向こうも、
ここまで太るとは思ってないからー・・・
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| ノリスケ |
「もうちょっと」で良かったのにねえ。
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| ジョージ |
そっ。そろそろ、もういいよ、
もうこれ以上になったら・・・
ベットとか壊れていくよ、だから、
・・・もう少し痩せようよ、って言われて。
それでもね、痩せらんないの。
相手は、めちゃデブ専じゃないわけだし、
ムッチリでよかったの。
デブデブじゃないの。
でも、あー、あー、あー、あー・・・
でも止めらんない。で、ある日、
お洋服を買いに、伊勢丹まで来ました。
で、新宿伊勢丹の、アニエス・ベーに。
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| つねさん |
ウッハッハッハ。
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| ジョージ |
むかし、一階のコーナーにあったでしょう？
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| ノリスケ |
あった、あった。
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| ジョージ |
僕カットソー欲しかったんだよ。黒の。
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| ノリスケ |
あったね。定番でねー。
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| ジョージ |
そう。それで、バーッて入って行ったら、
店員がね、ちょうどお畳みやってたんだ。
一人しかいなくって。
んで、いらっしゃいませーって、
顔も見ないで言われて。
すいませーん、試着していいですか？
って言ったら、いーですよーって。
で、カットソーのいちばん
大きそうなやつを、着ようとして、
こうやって（両腕を）入れたら、
入んないんだよね。
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| ノリスケ |
ここが？ もう？ 手が？
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| ジョージ |
も、袖付けからして
ベロベロになりそうなの。
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| ノリスケ |
ふあー。手首がもう、違うんだね。
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| ジョージ |
それでも無理して着てみようとしたら
後ろから手つかまれて、
「お客様、止めて下さい！
それ以上広がると、
売り物にならなくなります！」
って言われたの。
で、脱いでー、
「すいません、ここでいちばん
大きいサイズの洋服が欲しいんですけど」
て訊いたら、
「先ほどのカットソーが、
いちばんおっきいです」
って言われて。
「じゃ、僕、ここで買うものないんですね？」
って言ったら、
「ハイッ」
て即答されたの。
で、よしっ、わかった。
ぜーったい僕は痩せてやろう、って。
痩せて、ここのプレタが
着れるようになってやる・・・
で、痩せることにしたの。
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| つねさん |
そうなのよね。
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| ジョージ |
やっぱりね、健康で痩せようなんていうのはね、
大きな間違い。見た目。
目標設定は、プレタポルテが着れる体。
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| つねさん |
あぁ、そっかー。
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| ノリスケ |
僕はでも、それに近いな。
ギャルソンのズボンが、
お直しをするんだけど、
いちばんおっきいサイズが、きついわけ。
ダメかなあ、て思ったら、
店員さんが
「わかりましたっ、任せて下さいっ！」
って、すごいリキを入れて言うの。
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| つねさん |
意気込むの？
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| ノリスケ |
そうなの。そのシーンでね、
ちょっとやばいなーって（笑）。
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| ジョージ |
あれねー、ズボンね、
出せるズボンと出せないズボンがあるんだよね。
基本的に後ろの部分を出すわけじゃない？
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| ノリスケ |
そう。
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| つねさん |
はーはーはー、なるほどね。
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| ジョージ |
その、まあ、ちょっと後ぐらいでね、
ヒューゴ・ボス行って、
ずーっと定番ではけてたズボンがあったの。
それも、いっぱいに出せば、はけるんだけど。
一番おっきいサイズ。
んで、ある日、すんごい素敵な、
いままでのとは違うズボンがあったのね、
パンツがね。これにしようっ、て見たら、
やっぱり、サイズが同じなの。
で、店員さんに、
「すいません、これ、いつものように」
って言ったら、
「お客様、裏っかわ見て下さい」って。
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| ノリスケ |
伸ばす余裕がなかったのね。
お直しできないって？
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| ジョージ |
「もう少し、お痩せ頂かないと」
って言われた。
それもね、そん次のはずみになったんだよね。
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| ノリスケ |
わかるわあ。
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（つづきます）
