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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

海外旅行、醜い浮世の鬼を切る。その9
すばらしい日本人女性二人組を見たの。

ジョージ そういえば、
もんのすごく大っきなエルメスが、
アラモアナショッピングセンターにできてた。
つねさん あ、そうなんだ。
ジョージ そう、すっごい品揃えだったの。
いいものがいっぱい入ってるんだけど、
だけどね、日本人が、
日本人ってなんでなんだろう?
日本人って、って言うといけないんだよね、
あのね、なんでかしんないけど、
自分が買うものしか見ない人が
いっぱいいるの。
ノリスケ あ〜。逆だけどね。
買えないから全部見ようと思うけどね(笑)。
楽しいから。
ジョージ あの、やっぱりエルメスで
いちばん素敵なものっていうのは、
わけのわかんない革製品でしょ?
ノリスケ 馬具系の。
ジョージ それで、あとは、
カシミヤのコートだとかスーツだとかって、
なんでこんなに高いんだろう?
誰が必要としてるんだろう?
っていうのがいっぱいあるじゃない?
つねさん うん。
ジョージ だけど、買えるものもあるんだよね。
買えるものっていうと、
布製のカバンだとか‥‥。
つねさん いわゆるフールトゥ・ドーヴィルとか。
ノリスケ 数万円からあるやつね。
ジョージ そう、最終的に買えるものを
買うっていうのは、正しい判断なんだけど、
買えるものしか見ないで、
それしか買わないっていうのは、
お店の人にとって
すっごい悲しいことだと思うんだよね。
で、とくにエルメスで働いてる人なんて、
働いてる人があそこのものを
買えるわけがないんだよ。
だからエルメスにお客さまとして
やってきてくれてるということは、
少なくとも自分たちよりも、
数倍、生活に対して
お金をかけるということができる
人たちなわけだから、
おもてなししようという気持ちは
いっぱいあるんだよね。
たとえば、すーごいプリティな
コートがあったの。買わなかったけど?
つねさん よーし。
ジョージ サイズがなかったからなんだけど(笑)。
つねさん いや、その前、プラダ買ってるはずだから。
ジョージ そうそうそうそう。
ノリスケ まあ、2着は多いかな? みたいな感じ?
つねさん そうそうそうそう、重いし。
ジョージ プリティなコートを、
誰かれかまわずみんなが買うなんていうのは
思ってないわけよ、お店の人も。
だけどせっかくそこに
吊るしてあるわけだから‥‥。
つねさん ちょっとお袖ぐらい通しても。
ジョージ そう、たまには袖を通してくれないと、
自分たちは仕事ができないわけじゃん?
つねさん ははぁ。
ジョージ んーでね、行ってね、
あ、これ、かわいい、って言うと、
着てみますか? って。
着ると、とってもかわいかったりとか
するんだけど。ああ、やっぱり
肩が小っちゃーい、とか言いながら。
んで、そんなこんなしてると
もう30分とか1時間とか、
平気で過ごせるんだよね。
で、いろんなものを見て、
いろんなものを手に取って、
お店の人とバカな会話をしながら、
揚げ句の果てに何かひとつ買えば、
ギフトくれたり、あるいはこう‥‥。
ノリスケ お互い、いい思いをね。
ジョージ そう。あの、ご住所頂戴できませんか?
とかって言われて住所を書くと
セールの案内状が来たりとか。
ま、来て、行けるかどうかは別として。
でもすごい楽しい人生が
得られるわけであって。
でも僕がエルメス行ったときに、
すごい気の利いた日本のお客さんがいたの。
あの、今、エルメスベビーってやってんのね。
つねさん へぇー。
ノリスケ もともと、ちょっとあったけどね。
ジョージ ちょっとあった。あったけどね‥‥。
ノリスケ お人形とかね。
つねさん ああ、あの、ブランケットとかでしょ?
ノリスケ ブランケットとか。「アヴァロン」だっけ。
ジョージ タオルがものすごく充実してるの。
あと、ガラガラだとかね。
ノリスケ あ、そういうのもあるんだ。
ジョージ うん。あと、あの、タオル地の、
ベビー用の靴とかね、そういうのが揃ってて。
で、見るとね、安いもんでね、
85ドルとか100ドルぐらいからあるんだよ。
で、そういうのを、買ってる
日本人女性がいたの。
その子、女同士で来てて、
買ってる子の話聞いたらね、
上司が結婚して、まだお子さんが
いらっしゃらないんだけど、
冗談みたいにこれ贈ってあげよう、
とか言って、おみやげに、
ネクタイなんかよりも絶対こういうほうが
気が利いてるよねー、とかって言いながらね、
ベビー用品買って帰ってたの。
つねさん へぇー。
ノリスケ なるほどね、ネクタイより安いしね。
ジョージ そう。かわいいなーと思った。
つねさん 面白いね。
ジョージ それで、その、自分の上司に、
実用品じゃなくってそういうものを
買える上司と部下の関係って、
たぶんすごい素敵な関係なんだろうなー、
とかって思って見てたよ。
うん、それで、お店の人に、
小っちゃーいベビー用のタオルをね、
2枚セットにして、
これ私たちのプレゼントで包んで下さい、
って言ったら、親戚とか、
あなたのお兄さんとかお姉さんとかの
ニューボーンベイビーなのか?
って訊かれるでしょ?
すると彼女たちが、いやいや違う、って。
ノリスケ ボスのです。
ジョージ ボスのベビー、って言ったら、
エクスペクティングなのか? って、
もう妊娠してるのか?
って言ったら、ぜんぜん、って。
「まだ空にいるのよ」ですって!
つねさん おぉ(笑)。
ジョージ 店員さんも、すごくグッドアイデアで
素敵だと思う、って言ってた。
エルメスのベビー用のタオルってね、
真ん中が空いてるの。
2枚重ねになってて、間が空いてて、
手突っ込めるようになってて。
ノリスケ へぇ。
ジョージ それを見せて店員さんが言うの。
「もしそのボスの奥さんが、
 キャリア志向が強くて、
 仕事が忙しくって、
 お子さんがいなくっても2人で
 じゅうぶん幸せだっていう
 方であったとしたらば、教えてあげて」
って。
「この中に、キーを入れて、
 紐をこうやって引っ張ったら、
 とっても素敵なキーケースになるから」
って。そういう使い方もできるのよ、
って言ってもらいながらね、お買い物してた。
すーごい素敵だったよ。
つねさん へぇー、いいねぇ。
ノリスケ それ、日本人女性2人組なんだね。
ジョージ うん、2人組。
ノリスケ そういう子たちもいるんだね。
ジョージ そう。だから、やっぱり好奇心を持って、
ドアを叩けば
開くドアはいっぱいあるんだな、
っていう感じはした。
つねさん ただ、もったいないかな、
開けない人がいっぱいいるのね。
ジョージ そう。開けないっていうか、
世の中はドアのかたまりだっていうのが
わからないで生きている人も
いるんだと思うよ。
ノリスケ そうね、世の中には、
自分が開いたことのない
ドアがいっぱい並んでる。
つねさん そうね。で、開かずに済む道をずっと行く、
みたいな。開いたら変わるのにね。


店員さんのフォローも感心!
つづきまーす。次回でこのテーマは最後だよ。

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2003-12-05-FRI
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