ほぼ日テレビガイドシリーズ春の連ドラチェック2018 あややとふたりのプロフェッショナル
連ドラチェックと言いつつ、
その掲載時期の微妙なズレから
チェック機能はあまりなく、
すっかり「ドラマ座談会」として、
それでも多くの人に待たれている
恒例のコンテンツです、お待たせしました!
さあ、とにかくサッサとはじめましょう!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
有意義な話のなかにくだらない雑談も?
いえいえ、むしろバランスは逆で、
基本雑談、脱線上等、いい話もときどき。
例によって長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが担当。
それでは、はじめまーす!


第2回
安定したおもしろさの日曜劇場、そして次世代の朝ドラヒロインたち!

ブラックペアン

TBS●日曜21時

あやや
『ブラックペアン』、行ってみましょう。
TBS日曜9時。
荒井
日曜劇場、安定の枠ですね。
『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』。
あやや
主演は嵐の二宮和也さんなんですが、
まず、二宮さんの演技って、
私、いつもすごいと思っているんです。
森下
上手ですよねぇ。
あやや
最初にびっくりしたのは、
あれですよ、『流星の絆』!
あと、印象に残ってるのは、
倉本聰先生の『優しい時間』『拝啓、父上様』。
荒井
ああ、はい、はい。
あやや
なんていうか、二宮さんの演じる人物を見ると、
この人はずっとこういう人生を
歩んできたんだろうな、という、
「その人がドラマで描かれる前の人生」
みたいなものを感じさせるのが
すごいなといつも思っていて。
森下
わかります。
あやや
しかし! 私はここで、
視聴者として、ぜいたくなお願いをしたい!
いつもいい演技をする二宮さんの、
新しい一面を見てみたいな、と。
──
それは、どういう新しさ?
あやや
うーんとね、わかんない!
──
子どもか。
あやや
なんか、「すごい二宮さん」を見たいんですよ。
森下
なんとなくわかりますよ。
二宮さんって、印象として天才肌でクールだから、
簡単にこなしてるように見えちゃうんだよね。
たぶん、努力してらっしゃると思うんだけど、
キャラ的にやる気を見せるタイプでもないし。
あやや
努力してないよ、というふうに見せたがる、
そんな感じはありますよね。
でも、実際、あそこまでのぼりつめた人が、
ぜんぜん努力してない、なんてことありますか?
めちゃくちゃしてますよ、きっと。
でも、そこからはみ出すような、
ポーカーフェイスの向こうに意外な顔が見えるような
格闘してつかみ取るような一面も
見てみたいなあ、と思うわけです。
森下
そういう意味でいうと、
この『ブラックペアン』には、
組み合わせのおもしろさがありますよ。
二宮さんと絡みが多そうな役で
内野聖陽さんが出ています!
このクールな二宮さんが、
日本一暑苦しい俳優、内野聖陽さんの演技を
どうやって受け止めるのか。
あやや
あ、それはおもしろそう!
森下
もう、内野聖陽さんは熱波ですからね!
いるだけで暑苦しいからね。
──
ははははは、
現場を知ってる人ならではの意見。
荒井
たしかに、この組み合わせはおもしろいですね。
タイプが真逆じゃないですか。
クール対ホット。
あやや
内野さんがニノに熱波を!
森下
ふあぁーーーっ、と!
それを期待して観ると、おもしろそうだよ。
あやや
あと、演出が『半沢直樹』の福澤克雄さんですから、
キャラクターをどう際立たせるか、みたいなことを
すごく丁寧に打ち出してくると思うので、
そのへんも見どころですよね。
福澤さんの演出と内野聖陽さんの熱波で、
二宮さんが、どういうキャラになるのか。
──
そういえば、三谷幸喜さんの『新選組!』のときに、
近藤勇を演じる香取慎吾さんに、
土方歳三を演じる山本耕史さんが、
「マイペースな香取慎吾さんのこころを開かせる」
って言って、撮影の合間とかにずっと誘ったりして
無理矢理に仲よくなったっていう話がありましたね。
あやや
ああ、ありました、そうそう、
そういうことになるとおもしろいな。
森下
ほかにもいろんな畑からキャスト集めてるみたいだし。
化学反応を期待しちゃいますね。
荒井
これ、内容的には、どういう感じなんですか。
医療ものですよね。
あやや
原作は『チーム・バチスタの栄光』の海堂尊さん。
──
「大学病院を舞台に、孤高の天才外科医が
医療を取り巻く問題と対峙していく」とあります。
森下
「片っ端から、救ってやるよ」っていうのが
メインのコピーみたいですね。
あやや
『ブラック・ジャック』みたいな展開なのかな。
──
そうだね。
ダークヒーローって書いてあるから。
あやや
あ、原作紹介のところに、
「『チーム・バチスタの栄光』へとつながる、
すべての因縁はここから始まった」って書いてある。
『チーム・バチスタ』の前のお話なんですね。
森下
エピソード0みたいなこと?
荒井
そうみたいですね。
あやや
『チーム・バチスタ』はおもしろかったですよねー。
原作のおもしろさを、
演出やキャストの人たちが最大化してましたよね。
今回、それができるかどうか。
でも、局が違うんですよね、
『チーム・バチスタ』はフジテレビ、
『ブラックペアン』はTBS。
──
へーー、エピソード0が
違う局でドラマ化されたんですね。
荒井
ちょっとめずらしいかもしれない。
あやや
でも、こういう
しっかりした原作のついた医療ドラマは、
どこでやってもおもしろいですからねー。
荒井
脚本家は、丑尾健太郎さんという方ですね。
あやや
最近、よくお名前を拝見する気がします。
──
資料によれば、最近手がけたドラマは
『小さな巨人』『無痛』など。
荒井
『小さな巨人』やった人なんだ。
なかなかおもしろそうですね。
あやや
安定感ありますねー、このドラマ。
見ると、キャストも厚いですよ。
市川猿之助さんに、倍賞美津子さん!
荒井
竹内涼真さんも人気ですよね。
あ、カトパンが出てますね。
元フジテレビアナウンサーの加藤綾子さん。
この枠、なんかちょっと、
そういうところありますね。
女子アナを使いたがるっていう。
前の『下町ロケット』には、高島彩さん出てました。
森下
『陸王』には阿川佐和子さんが出てましたね。
あやや
阿川さんはよかったですよね!
荒井
あれは、はまってましたね。
あやや
あと、ヒロインっぽいところにいるのが、
朝ドラ『わろてんか』の葵わかなちゃん。
森下
なんか、朝ドラのヒロインやったら、
日曜劇場で娘役みたいな感じで出るのが、
パターン化してますね(笑)。
あやや
そうそうそう(笑)、
土屋太鳳ちゃんもそうでした。
朝ドラのヒロインのあと、
とりあえず、ここで一回落ち着かせる、という。
荒井
芳根京子さんもそのパターンですね。
──
へーー。
荒井
葵わかなさんって、
女性目線的にはどうなんですか。
あやや
この子は、私の中では、
杉咲花ちゃんと似た感じでとらえてますね。
森下さんは?
森下
きれいなんですけど、
表情がバシッと決まりすぎてる感じはしますね。
荒井
あー、わかります。
森下
もっとこう、やわらかく、
ふにゃふにゃになると、さらにいいのでは。
あとね、ひとつつけ加えるとね、
最近の女優さんのなかでは、私、
この看護師の役で出ている
趣里ちゃんがけっこう好き。
あやや
あーー、水谷豊さんの娘さん。
荒井
ということは、伊藤蘭さんの娘さんですね。
──
あ、そんな方が女優さんに。
森下
彼女の芝居おもしろいなーって。
ルックスもインパクトが強くて好き。
あやや
印象的ですよね。
パンチ効いてる感あります。
森下
でしょー?
あやや
たしかに、個性的ですね。
清野菜名さんが黒柳徹子さんを演じた
『トットちゃん!』にも出てましたよね。
森下
ね。
あやや
ドラマをつくる側からしたら、
こういうインパクトある人は
キャスティングしたくなるんじゃないですか。
森下
そうそうそう、
ありがたいタイプの女優さんです。
活躍していってほしいなぁ。
いや、するんだろうけどさ。
あやや
まあ、『ブラックペアン』、
きっと、これはおもしろいでしょう。
森下
安定してますよねー。
あやや
私、見ると思います。
医療ものということで、
私の好きな手術シーンもあるだろうし。
荒井
‥‥ドキッ。
──
あ、そうだった。
荒井先生は、こう見えて、
血の出る手術シーンなどが苦手です。
あやや
私、平気。大好物。
──
怖いから。真顔で言わないで。
森下
そういうのでいうとね‥‥
あ、これは言っていいのかな?
まあ、いっか。
あの、『ブラックペアン』の演出の福澤さんから、
『JIN-仁-』のプロデューサーに
電話があったらしいんですよ。
‥‥あ、『JIN-仁-』というのは、
私が脚本を手がけたドラマなんですけど。
あやや
知ってますーー!
森下
ハイ(笑)。で、その電話の内容というのが、
手術中の血の量に関することで。
というのは、『JIN-仁-』のときね、
血が出るシーンをできるだけ少なくしたんですよ。
それをなにかで知った福澤さんが、
「『JIN-仁-』は、どういう狙いで
血の出るシーンを少なくしたんだっけ?」
というのを、福澤さんが電話で確認してきたそうです。
あやや
へーー、へーー。
──
ちなみに『JIN-仁-』のときは
どういう狙いでそうしたんですか?
森下
血の出るシーンが苦手な視聴者さんもいるので、
という、シンプルな理由です。
荒井
視聴者にご配慮、ありがとうございます。
あやや
視聴者だけど、私、ぜんぜん平気。
森下
だから、まあ、福澤さんから
そういう電話がかかってきたということは、
『ブラックペアン』では血の出るシーンは
そんなにたくさんは出てこない、
というふうに考えていいんじゃないでしょうか。
荒井
ああ、よかったです!
手術シーンが苦手な視聴者にとっては
とてもうれしい情報です。
あやや
うっそ。ぜんぜん平気。
血、大好き。手術、大好物。
──
真顔でそれ言うのやめて。
あやや
特に、あれが好き、
直もみ心臓マッサージ。
心臓を直接、こう‥‥
(手のひらで心臓らしきものをモミモミ)
荒井
うわぁ、うわぁ。
──
あやちゃん、前にもそれやっただろう。
あやや
ほらほら(手で心臓をモミモミしながら)。
ほらほら(手で心臓をモミモミしながら)。
荒井
うわぁ、うわぁ。
──
やめなさい、って(笑)。

崖っぷちホテル!

日本テレビ●日曜22時30分

あやや
じゃあ次は、これ行きましょう、
『崖っぷちホテル!』。
みなさん、浜辺美波さんって知ってます?
森下
知ってます知ってますー。
かわいいー、美人。
あやや
荒井先生も、もちろん?
荒井
知ってます。いま売り出し中ですよね。
あやや
『賭ケグルイ』を見たかた?
前クールの、けっこうおもしろかったドラマ。
荒井
はいはい、夜中にやってましたね。
浜辺美波さんが主演で出てました。
あやや
浜辺美波ちゃん、よかったですよねー。
ここまでに名前が出た杉咲花ちゃんとか、
荒井先生に教えてもらった今田美桜ちゃんとか、
いま注目されてる若手女優さんは
たくさんいらっしゃいますけど、
私の注目するひとりは、この浜辺美波ちゃんです。
で、まず言いたいのは、
この、「浜辺美波(はまべみなみ)」という名前‥‥
私は‥‥芸名だと思うんです!
荒井
はぁ。
森下
まぁ。
──
うん。
あやや
でも‥‥本名かもしれない!
荒井
どっちなんですか。
森下
な、なんなの。
──
わかんないなら言わなきゃいいのに。
あやや
ともかく、名前が漫画みたいだぞ、と。
昭和の漫談芸人のような、
演歌歌手のようなこの名前。
そしてその名にふさわしく、
彼女、クラシカルな美少女なんですよ。
そして、出身もなかなかクラシカル、
東宝シンデレラガールです!
沢口靖子さん、斉藤由貴さんの系統です。
森下
あ、そうなんだ。
荒井
映画の『君の膵臓をたべたい』の
ヒロインでしたね。
あやや
そうそうそう。
森下
かわいいよね。
──
じゃあ、これから来る。
荒井
いや、もう来てます。
あやや
もう来てますよねー。
前からかわいいなあ、とは思ってたんですが、
『賭ケグルイ』で完全にやられました。
あの個性的な役への
浜辺美波ちゃんのハマベっぷり‥‥
じゃない、ハマりっぷり。
荒井
浜辺っぷり(笑)。
森下
浜辺っぷり(笑)。
──
ダメだ‥‥(笑)。
あやや
「浜辺」と「ハマリ」が‥‥
っていうか、そんなことはいいんですよ!
荒井
逆ギレ(笑)。
森下
逆ギレ(笑)。
──
逆ギレ(笑)。
あやや
あとね、浜辺美波ちゃん、
子役出身ということで、演技も上手です。
荒井
けっこう映画なんかにも出てますよね。
あやや
そう。
なんというか、清純派でクラシカルで、
スクリーンにもピタッとハマる。
あと狂気があるの。
美女って、なんか狂気ありませんか?
森下
うん、わかる、わかる。
あやや
こう、日本人形的な狂気があるんですよ。
演技もそうだけど、顔も狂気があるの。
だからね、予言します。
この人‥‥朝ドラやります!
──
さっきも言ったぞ、それ。
森下
今田美桜さんも朝ドラ、
浜辺美波さんも朝ドラ。
──
朝ドラ大安売りか。
あやや
だって、やるんだもん、朝ドラ。
──
荒井先生、この安易な予言者に
なんとか言ってやってください。
荒井
はい。このふたりは‥‥
朝ドラやるでしょうね!
と言っておき‥‥ま‥‥す。
あやや
わーーい。なんか語尾が弱くなってるけど。
──
慎重なお墨付きをいただきました。
あやや
ともかく、浜辺美波さん、
名前だけでも覚えておいてください。
この子はもっともっと大きくなります。
へんなスキャンダルとかに
巻き込まれませんように。
昔のヤンキー写真とか出てきませんように。
森下
大丈夫だよ、いまどき、ヤンキー写真くらい。
荒井
まるでヤンキーだった過去があるかのような。
──
すみません、まったく根も葉もないことです。
あやや
しつこく言いますけどね、
浜辺美波ちゃんって、役によって
まったく顔や雰囲気が変わって、
別人みたいになるんですよ。
この若さですごいと思います。
森下
『スーパーサラリーマン左江内氏』
に出てたよね?
印象的だったから憶えてる。
荒井
『無痛』にも出てましたよね。
西島秀俊さん主演の。
森下
中村蒼くんが痛くない人の役やってたやつだ。
医療サスペンスミステリーで、
おもしろかった。
あやや
えっ、『無痛』、私も見てましたよ?
浜辺美波ちゃん、どこに出てたの?
荒井
入院してた、
感情の起伏の激しい女の子みたいな役で。
──
出てますね。南サトミ役だそうです。
あやや
‥‥南サトミ? 
あああー、あの子か! 金髪の!
あれ、そうだったんだ。
すごい、荒井先生、よく知ってますね!
ていうか、浜辺美波ちゃん、すごいなー。
あの金髪の子、そうだったんだ。
荒井
金髪で、ヤンキーっぽい役で‥‥。
あやや
あああ! ヤンキー‥‥!
荒井
役が(笑)!
ご本人じゃなくて、役が(笑)!
森下
いいじゃない、いいじゃない、
ちょっとヤンキー入ってるくらい。
荒井
だから、入ってないから、本人には。
森下
みんなそうだよ。
かわいい女の子って、
だいたいちょっとヤンキーなんだよ。
あやや
そうでした、そうでした。
私たちの学生時代、かわいい子は
みんなちょっとヤンキーでした。
──
おばちゃんたちの偏見が止まらない。
荒井
浜辺美波さんがヤンキーだった
という過去はかけらもありません。
ていうか、なんでこんな弁解を‥‥。
──
‥‥あー、みなさん、すみません、
とんでもないことに気づきました。
あやや
なんでしょう!
森下
なんでしょう。
荒井
なんですか。
──
このセクション、
『崖っぷちホテル』について
話しているはずなのですが、
ずーっと浜辺美波さんの話しかしてません。
しかも、浜辺美波さんって、
このドラマの主演でもヒロインでもありません。
「空気の読めない総料理長」という役です。
ぶっちゃけ、脇のひとりです。
荒井
あ、『崖っぷちホテル』について、
しゃべるところだったんですか。
あやや
あ、荒井先生(笑)。
──
やめてください、その天然のうろたえぶり。
森下
ははははは。
荒井
『崖っぷちホテル』の資料は‥‥ええと。
──
資料を見てもなかったんですか。
あやや
ヤバいですね、私たち。
森下
さすがに10年も経つと(笑)。
荒井
‥‥あれ? ないんですよ、資料に、
『崖っぷちホテル』のページが。
あやや
日曜日のところです、日曜日。
荒井
いや、でも、ないんですよ。
──
次のページに行ってください、ほら。
森下
荒井先生(笑)。
荒井
次のページにもないんですよ。
森下
荒井先生(笑)。
──
あるある、ほら。
荒井
あった、あった。
──
はい、荒井先生、あった、あった。
あやや
ヤバいですね、私たち。
森下
なんかもう、著しくエッジを欠いてます。
荒井
10年目ともなると、
「いま、なんのドラマの話だ?」って(笑)。
──
なんかもう、
知識が偏った老人たちの話みたいになってますよ。
森下
「知識が偏った老人たちの話」(笑)。
荒井
そのとおりかもしれない。
あやや
40歳になったばっかりなんですから、
「老人」はやめて、「老人」は!
──
はい、いまから3つ数えると、
『崖っぷちホテル!』の話に戻ります。
ワン、ツー、スリー、はい(指をパチン)! 
あやや
『崖っぷちホテル』。
主演は岩田剛典くんです。
EXILEの人ですね。
森下
戻った、戻った(笑)。
あやや
で、この岩田剛典くん、
慶應義塾大学出身なんですが、
なんと普通部から入ってます。
なかなかの実力です。
森下
がんちゃんって呼ばれてるんだよね。
あやや
そうそう、がんちゃん、がんちゃん。
がんちゃん、十代、二十代の女の子に
めちゃくちゃ人気らしいんですよ。
荒井
けっこうあちこち出てますよね。
森下
『植物図鑑』っていう映画にも出てた。
荒井
菅野美穂さんと松嶋菜々子さんの
ドラマにも出てましたよね。
あやや
ああ、出てました!
荒井
そのドラマのタイトルが出てこない‥‥。
──
はははは、荒井先生(笑)。
荒井
『砂の塔』だ!
森下
出てました! 『砂の塔』、出てた!
あやや
菅野美穂さんに言い寄る
体操教室のコーチの役ですね。
めっちゃ売れてるんですよ、岩田剛典くん。
──
EXILEの人は演技もできるんですか?
森下
できる人もいるんです。
劇団EXILEというのもあって。
あやや
でも、岩田剛典くんは
劇団EXILEじゃないんですけどね。
──
劇団EXILE。でも、劇団EXILEじゃない。
森下
永田さんまで、エッジの欠けがひどい(笑)。
──
もう、つるっつるです。
あやや
がんちゃんは三代目J Soul Brothersなんですよ。
──
がんちゃんは三代目J Soul Brothers。
森下
くり返さないで(笑)。
──
三代目J Soul Brothersが
正直、よくわかってないんですよね。
それは、あれですか、
一世風靡セピアみたいなもんですか。
荒井
わはははは!
あやや
はい、いまから3つ数えると、
『崖っぷちホテル!』の話に戻ります。
ワン、ツー、スリー、はい(指をパチン)! 
──
ヒロインはどなたデスカ?
あやや
戸田恵梨香さんになるんでしょうね。
こう、相関図を見ると、
女親分みたいな貫禄を感じますが。
森下
でも、「威厳0の新米総支配人」
って書いてありますから、
苦労する役どころなんでしょうね。
あやや
そっかー、しかし、そうなんですね、
戸田恵梨香さんがもう、
ベテランの立ち位置にいるんですね。
荒井
そうですね。
ネクスト朝ドラ候補者の女優さんたちが、
センターを狙ういい位置の脇にいて、
戸田恵梨香さんはベテランの席に。
あやや
アネゴ的な位置にステップアップしてますね。
実際、戸田恵梨香さんがいることで、
このドラマはかなり安定感が出てると思います。
荒井
これは、どういうお話なんですかね。
ホテルが舞台ですけど、
推理もののサスペンスとかじゃないですよね。
あやや
ええと、崖っぷちのホテルを、
ふらりと泊まりにきたがんちゃんが立て直す、
みたいなストーリーみたいです。
森下
お客さんとして来た
岩田剛典さんが、立て直すの?
荒井
『王様のレストラン』的な展開ですね。
森下
ということは、がんちゃんが、
松本幸四郎さん的な役をやるのかな。
あやや
あの、これ、なんでホテルを
題材にしようと思ったんでしょうね?
荒井
‥‥え。
森下
‥‥なになに?
あやや
いや、なんでホテルなんだろうなあ、と。
──
‥‥そんな、こといったらぜんぶそうだぞ。
医療ドラマは「なんで病院なんだろう?」だし、
学園ドラマは「なんで学校なんだろう?」だ。
あやや
病院と学校はぜんぜん不思議じゃないんですが、
ホテルはなんでホテルなんだろう。
森下
舞台をホテルにした物語って、
昔からけっこうあるじゃない。
それこそ「姉さん、事件です!」だよ。
いろんな人がいろんな理由で訪れる場所だから、
ストーリーがふくらみやすいのかも。
荒井
ああ、なるほど。
あやや
そういうふうに説明してもらえると、
とても納得できます!
謎がひとつ解けました。
──
よかったです。
あやや
あと、もうひとつの謎は、
がんちゃんだなぁ‥‥。
森下
がんちゃん?
あやや
岩田剛典さんの魅力についてです。
さっきも言いましたけど、
若い人たちに人気ありますよね。
でも、それがいまひとつ、
よくわかってないんですよ。
森下
それはあれじゃない?
EXILEのイケイケな雰囲気の中で、
わりと上品さがあるからじゃない?
あやや
ああ、たしかに、たしかに。
でも、そういうことも、
理屈としてはわかるんですけど、
なんか、実感できてないんですよ。
だから、このドラマを通して、
がんちゃんの魅力を‥‥。
──
探す旅に出る、と。
荒井
お馴染みの、
「魅力を探す旅に出る」シリーズですね。
あやや
そうなんです。
私は、このドラマで、岩田剛典さんを知る旅に出たい。
──
未知の世界まで出かけたい、と。
あやや
うん。
箱根ぐらいまでは行きたい。
──
近いだろ。
森下
近い(笑)。
荒井
日帰りですね(笑)。
──
あんまり遠くまで行く気ないじゃないか。
あやや
そんなことないですよ!
箱根。すばらしいですよ!
森下
東京からすぐなのに、
いい温泉とかあって、のんびりできて。
あやや
そうそう。
森下
忙しい最中でも、さっと行って、
あー、いい気分みたいな。
あやや
そうそうそう。
──
それはただの箱根の話だろう。
あやや
いや、だから、箱根ぐらいまで行きたい。
ロマンスカーで、温泉行って。
──
「箱根行きたい」って話になってるよ。
森下
飛行機には乗りたくないんだね。
あやや
飛行機乗るとなると、荷造りもたいへん。
荒井
うん、旅の話ですね。
──
小旅行の話ですよ。

ヘッドハンター

テレビ東京●月曜22時

あやや
このへんでちょっと新しい感じのドラマを
1本、行っておきましょうか。
『ヘッドハンター』です。
荒井
テレビ東京、月曜22時?
あやや
そう、なんと、新枠です。
テレビ東京の22時は、
月曜から木曜まで「経済」で行くらしんいです。
だから、『カンブリア宮殿』
『ガイアの夜明け』といった番組と並んで、
月曜日は22時の枠に、
新しく経済ドラマがはじまるということです。
──
「経済ドラマ」‥‥って?
あやや
まあ、ビジネスドラマだと思いますよ。
おもしろいのは、このドラマのコンセプトが
「ふだんテレビ東京の経済番組を見てて、
ドラマをあまり見てない人たちに見てもらう」
というふうになっていて、
だから、ほかの曜日で
経済番組のナビゲーターをやっている人たちが
キャスティングされてるんですよ。
江口洋介さんと杉本哲太さんは『ガイアの夜明け』、
小池栄子さんが『カンブリア宮殿』。
森下
へーーー。
あやや
まあ、もともと俳優さんたちが、
経済番組のナビゲーターを
やっているわけですから、
むしろドラマのほうが
正しい姿なのかもしれないですけどね。
だから、逆に、ドラマを観る層にも、
経済番組に興味を持ってもらおう、
という狙いもあると思います。
──
そのコンセプトはよくわかるけど、
ほんとにドラマ見た人たちが経済番組を見るかな?
あやや
あ、けっこうあると思いますよ。
というのもね、私、
『ガイア』とか『カンブリア』を見たとき、
「実際の経済の世界って、
ドラマみたいでおもしろい!」って
思ったんですよ。
森下
へーー(笑)。
──
つまり、ビジネスの世界の実話が
ドラマのようにおもしろい、と。
あやや
いろいろあるじゃないですか、
『プロフェッショナル』とか
『NHKスペシャル』とか。
やっぱり、おもしろいんですよ、
再現ドラマで構成されてる
ドキュメンタリーとか見てると、
ほんと、いいドラマを見てる感覚。
だから、経済の時間にドラマ持ってくるのは、
ちょっとわかるなと思いました。
実はリンクしてる。
荒井
なるほど、再現ドラマ。
あやや
こういうふうに会社が大きくなっていったとか、
そういう話って、ドラマ向きですよ。
まあ、日曜劇場のおもしろさって、
そもそもそういうことですよね。
森下
そういえば、橋田壽賀子先生は
『プロジェクトX』大好きだそうですよ。
あやや
ほらほら、やっぱり。
森下
ドラマがあるんでしょうね、リアルの中に。
あやや
うん、だから、おもしろいと思いますよ、
この、テレビ東京の、月曜から木曜まで
22時はぜんぶ経済関係でいきます、
っていうコンセプトは。
森下
で、ドラマについて見ていくと、
ヘッドハンターの話なんですね、これは。
──
そうですね。
人材派遣会社の人たちが主人公。
あやや
脚本が『コードブルー』の林宏司さんだから、
きっとおもしろいと思います。
森下
で、演じるのが、
江口洋介さん、小池栄子さん、杉本哲太さん、
荒井
それにしても、
江口洋介さんって、老けないですね。
あやや
かっこいいよねー。
荒井
ここまで老けない人って、
めずらしいですよね。
あやや
でも、さすがに役どころは変わってきてますよね。
ドラマに出だしたころ、
たとえば『101回目のプロポーズ』のときは
武田鉄矢さんの弟役で、
ちょっとコミカルでしたよね。
『ひとつ屋根の下』とかも。
で、いまは、かっこいいー、って感じになって。
森下
ああ、そうだったねー。
でも、外見は老けない(笑)。
荒井
夫婦で老けないですよね。
あやや
そうだ、森高千里さん、きれい!
森下
老けない夫婦。
荒井
なかなかすごいですよね、老けない夫婦。
──
ちなみに、森高千里さんは出てません。
あやや
出てるのは、小池栄子さん。
この人も老けないなー。
森下
小池栄子さん、いいよね。
あやや
いい。
ちょこちょこドラマにいい役で出ますけど、
かならずなんか爪痕残しますよね。
──
『リーガルハイ』とか、よかった。
あやや
そうそう、『リーガルハイ』とかね。
森下
小池さんって、舞台で観ても、いいんですよ。
うまいんだよなー。
このドラマ、なかなかいいんじゃないですか。
あと、杉本哲太さんいたり、平山浩行さんいたり。
で、脚本が林宏司さんですからね。
あやや
うん、うん、いいと思います。
──
しかし‥‥人材派遣会社の名前が
「SAGASU」って‥‥。
荒井
ベタですね(笑)。
森下
探す‥‥サガス‥‥「SAGASU」。
英語っぽく発音するのかな。
あやや
サッガァースッ。
森下
サッガァースッ。
荒井
ははははは。
──
あと、あの、あらすじを読んでて
ちょっと気になったんだけど、
一番最後の、ここに‥‥。
あやや
ん? なんか書いてあります?
──
ええとね、こう書いてあって。
「家族や先輩への想いから
転職を決断できずにいる谷口に黒澤は問う。
『あなたにとって一番大切なものは何か?』」
これって、ほぼ日の就職論の対談で、
KIZUNAパートナーズの河野晴樹さんが言ったのと、
まったく同じことばなんですよ。
あやや
あーーー、言ってたかも。
──
ほら、この対談
荒井
しかも、会社の名前が「KIZUNA」‥‥。
森下
「KIZUNA」と「SAGASU」‥‥。
あやや
む、む、む、む‥‥。
──
まあ、あの、たまたまそうだった、
ということで。
森下
あ、面倒くさそうだからって、逃げましたね。
あやや
これは、しかし‥‥。
──
さあ、つぎのドラマ、行きましょう!


(続きますよ、もちろん)
2018-05-10-THU

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN