ほぼ日テレビガイドシリーズ

春の連ドラチェック2016

あややとふたりのプロフェッショナル
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
全国の連ドラファンから
「まだですか」という声が届く季節は春と秋。
なぜなら「連ドラチェック」があるからさ!
さぁ、お待たせしました。
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールのドラマについてたっぷり語ります。
もう、ほんとに、たっぷり語ります。
例によって、ムダ話満載。脱線上等。
どうぞみなさんもこの場に
居合わせているようなつもりで
読んでくださいね。
進行は、テレビドラマついての造詣が
いっこうに深まらない
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストと魂の漫画は、
「気仙沼のほぼ日」のサユミ作。
それでは、ぼちぼちはじめましょうか。
  • あやや

    ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
    どんなに忙しくても
    録画したドラマは必ずチェック。
    毎週発表される
    視聴率なども無意味に把握。
    幼少期から蓄積された
    テレビの知識は無尽蔵。
  •  荒井清和

    漫画家・イラストレーター。
    ほぼ日刊イトイ新聞にて
    『TVウォッチャーの逆襲』を
    超不定期連載中。
    「写真より似てる」という
    高品質な似顔絵には定評が。
    ドラマ、スポーツ、
    バラエティー番組などが好き。
  • 森下佳子

    脚本家。『JIN-仁-』
    『世界の中心で、愛をさけぶ』
    『白夜行』『天皇の料理番』など
    名作ドラマを生みだす。
    NHK朝ドラ『ごちそうさん』で
    向田邦子賞を受賞。
    2017年の大河ドラマ『直虎 おんな城主』を現在執筆中。



第1回
今季のテーマは不倫もの?
春の連ドラを語っていきますよー!
──
半年ぶりの集合となりました。
春の連ドラチェックです。
みなさま、よろしくお願いします!
森下
よろしくお願いしまーす!
荒井
よろしくお願いします。
あやや
よろしくお願いしますーーー。
あああ、今日という日が、
もう終わってしまいますね‥‥。
──
早いよ。
森下
早いよ(笑)。
荒井
まだはじまってもない。
あやや
そうなんですけどね、
でも、今日という日は、私にとって、
待ちに待った日なんですよ。
指折り数えて待ちわびた
連ドラチェックの座談会なんですよ。
それが今日だということは、
今日という日が来ちゃったということです。
今日という日が来ちゃったということは、
今日という日が終わるということです‥‥。
ヨヨヨ‥‥。
──
冒頭から泣き崩れんなよ。
あやや
いやぁ、終わっちゃうんだなぁ、今日!
森下
どうすればいいですか。
荒井
まだなにもしゃべってない。
あやや
今日はほんとにたのしかったです!
ありがとうございました!
──
‥‥ほんとに終わるぞ。
あやや
ひゃぁああ。
荒井
はじめましょう。
森下
ハイ、はじめましょう。
──
春の連ドラチェック2016、はじめます!
どうぞよろしくお願いします!
なにしろ、ドラマの話をしてください。
どうですか、今季のドラマは。
あやや
全体的にはいいんじゃないかと思います。
森下
うん。
荒井
観たいものがけっこうありますね。
──
おお。
あやや
でね、おもしろいのは、
ドラマって、そのクールごとに、
なんとなく「傾向」があったりするんですよ。
今季でいうと‥‥不倫。
森下
うん、なんか、目立ってますね、不倫もの。
あやや
そうなんですよ!
それはなんでかと言うと、
たぶん、ひとつの要素としては
『昼顔』という上戸彩ちゃんと斎藤工くんの
不倫もののドラマが当たったことが
あるんじゃないかと思うんです。
荒井
あれは、2014年の夏ですから、
1年半くらい前ですね。
あやや
そのくらいですよね。
そのときに、企画を立てた人たちがいて、
それがこのタイミングで
かたちになっているんじゃないかと。
で、それはまあ、いいとして、
私が興味があるのは、今年って、
ワイドショーのにぎわいがすごいじゃないですか。
荒井
あー、そうですね。
とくに、不倫関係の話題が。
あやや
そうなんです。
そういうことって、たとえば、
不倫をテーマにしたドラマにとっては
追い風なのか、逆風なのか。
──
あー、なるほど、どうなんだろう。
森下
まあ、ドラマはドラマですからね。
「ドラマの中で不倫をするなんてけしからん!」
というふうには、さすがにならないだろうけど。
荒井
でも、いまって、そう言い出しかねないほど、
その手の話題に敏感ですよね。
あやや
それも私、ちょっと不思議なんですけど、
『昼顔』のときは、みんな、
上戸彩ちゃんと斎藤工くんを応援したんですよ。
ひとつの恋のかたちとして、がんばれ、と。
ところが、現実の話になると、
もう、反応がまったく違う。
いや、もちろん、ドラマと現実は違いますし、
ドラマだからこそその物語をたのしむ、
というのもわかります。
でも、あまりにもギャップがあるなぁ、と。
森下
あぁー、うん、うん。
あやや
たとえば『マディソン郡の橋』は
道ならぬ恋でも、名作として扱われるわけですよね。
だから現実の不倫も認めよう、
というわけではまったくないんですが。
荒井
まあ、建前としては、ダメなんですよね。
あやや
そうですね。
でも、本音としては、どうなんだろう。
──
本音としては、他人事なのかもしれない。
あやや
それはそうかもしれない。
でも、それにしては、
ものすごく怒ってる人もいますよね。
うーん、ドラマの脚本を書いている人としては、
そのあたり、どうですか。
森下
それは私、考えたことがあるんだけど、
たとえばね、私の仲のいい友だちが、
道ならぬ恋をしていたとする。
それを知ったらね、まあ、
「やめときなよ」くらいは言うかもしれないけど、
「あんた、それは人間のクズのすることよ!」
とは、私は、言えないだろうなあ、と。
あやや
あーー、友だちだったら、言えないね。
森下
だけどね、その友だちが、
旦那をほかの女に取られそうだ、
っていうことになったら、
「その女、クズだね」って言っちゃう気がする。
荒井
あー、なるほどなあ。
あやや
なるほど、なるほど。
森下
だから、けっきょく、そういうことって、
絶対的な倫理観とは違って、
自分と対象との距離の問題だと思うんですよね。
で、ドラマのなかで不倫をとらえるときって、
「主人公側の目線」で見てるから、
自然と応援しちゃう気持ちになるんですよ。
あやや
その通りだ!
荒井
お見事(笑)。
あやや
さすが、考えてる、人の心理を!
──
もう、そういうことについて、
当たり前のように何度も何度も考えてますね。
人の30倍くらい考えてる。
森下
ははははは。
そういうことについては、
どうしても考えちゃうんですよ。
荒井
職業病ですね。
あやや
職業病、職業病。
森下
‥‥否定できない。
コントレール
NHK総合●金曜日午後10時
4月15日スタート

あやや
じゃあ、話の流れで、不倫ものから行きましょう。
NHKの『コントレール』。
荒井
これ、「ドラマ10」ですよね。
火曜10時から金曜10時に移ったんですか。
あやや
はい、移りました。
──
「ドラマ10」はなんですか?
あやや
NHK総合のドラマの「枠」です。
けっこう昔からある、22:00からのドラマ。
広末涼子さんの『聖女』とか、
最近だと『デザイナーベイビー』とか。
そこではじまる最新作がこの『コントレール』。
脚本は大石静さんです。
荒井
大石静さんは、「ドラマ10」の枠でいうと
『セカンドバージン』がありますね。
あやや
あれ、当たりましたねー。
森下
あれも不倫ものだったね。
あやや
そうでした。
今回の『コントレール』、
主演は石田ゆり子さんです!
森下さんは、
「もしも誰かに生まれ変われるなら
 石田ゆり子さんになりたい」と
いつもおっしゃってます。
森下
ええのぅ。ゆり子は、ええのぅ。
あやや
相手役は井浦新さんです。
最近、井浦新さんを、
ディーン・フジオカさんだと思う人が、
すごく増えてるんですって。
──
え、これ、
ディーン・フジオカさんじゃないんですか?
あやや
ほらほらほら。
荒井
え、似てますか?
──
この写真を見る限り、そうかなと。
荒井
画面で見ると、そんなに似てないんだけどな。
あやや
それはあれです、
永田さんが『あさが来た』以外のドラマを
ほとんど観てないからです。
──
おっしゃるとおりかもしれません。
こういうイケメンを観ると
「あ、五代さまだ」と反射的に思ってしまう。
あやや
あと、この写真がとくに似てるんだね。
荒井
で、これは不倫なんですね。
森下
でも、なんか、ざっと読んでみると、
不倫っていうより、すっごいヘビーな話だよ。
旦那を殺した人を、好きになっちゃうみたいな。
あやや
「無差別殺人事件で夫を失った孤独な女。
 絶望の淵で出会った運命的な恋の相手は、
 夫を殺した男だった‥‥」
──
おいおい、不倫どころじゃないぞ、それ。
あやや
‥‥あれ?
ていうか、これ、不倫じゃないのかも?
荒井
うん、そうですね、設定を読む限り、
不倫になってないですね。
あやや
これ、不倫じゃない。
──
なんなんだ!
ずっと「不倫」軸で話してきたのに!
あやや
ごめーーん。
前半の不倫トーク、台無し。
──
記事を構成する身にもなれ!
森下
「大石静さん×ラブストーリー」
という情報だけで、
不倫だと思い込んだんだね。
しかも「ドラマ10」だし。
あやや
そうそうそう。
私の中で大石静ラブストーリーは、不倫ですよ。
大人の恋っぽいから。
だって、ほら、これ、
紹介の写真なんかも不倫っぽくない?
荒井
でも不倫じゃありませんね。
──
どこからどう書き直せばいいんだ‥‥。
あやや
まぁまぁ、なんとかなりますよ。
さて、気分を切り替えて、
このタイトルの『コントレール』って
いったいどういう意味なんですか?
荒井
ええと、「ひこうき雲」のことみたいです。
森下
そうなのか。
私、じつはさっきから、
『コントレール』って聞くたびに、
あのピンクの水が頭に思い浮かんで‥‥。
あやや
森下さん、それ『コントレックス』!
荒井
はははははは。
──
ああ、どうまとめればいいんだ。
1本目なのに、この大混乱。
あやや
話をドラマに戻しますよー。
ええと、夫を殺した人と恋に落ちるんですか。
たいへんじゃないですか。
森下
そういう設定の映画あったよね、
ええと、真木よう子さんの‥‥。
あやや
ああ、あった!
森下
『さよなら渓谷』だ。
あやや
そうだ、そうだ。
日本アカデミー賞の
最優秀主演女優賞を取ったんですよね。
あれは殺人じゃなかったけど、
同じような感じで、
被害者と加害者がいっしょに暮らす。
荒井
で、どうして、
夫を殺した人と恋に落ちるんですかね。
あやや
めちゃめちゃ興味あります、このドラマの設定。
森下
ええと、主人公は、
「海辺のドライブインを、
 女手一つで細々と続けている。」
あー、似合うなぁ、ゆり子。
海辺のドライブインで、
女手ひとつで子どもを育てる。
あやや
で、井浦新さんと禁断の恋に落ちるんですね。
荒井
原田泰造さんは何役ですか。
──
刑事さんみたいですよ。
旦那さんが亡くなったあとも
石田ゆり子さんを気にかけて
ドライブインに通っているみたいです。
「ひそかに彼女に恋心を抱いている」。
しかし「女心はときめかない」とも。
あやや
原田泰造さんは
「女心はときめかない」っていう設定が似合いますね。
「女心はときめかない」役をやらせたら日本一です。
──
こらこらこら。
荒井
旦那さんを殺して、
罪を償って出てきたわけじゃないですよね。
ってことは、まだつかまってない状態で
恋に落ちるってことですか。
森下
もしくは冤罪なのか。
そもそも石田ゆり子さんは
彼が夫を殺した犯人だとわかっているのかどうか。
知らずに好きになって、どこかで発覚するとか?
あやや
気になる、気になる。
森下
うん。たのしみ、たのしみ。
あやや
しかしこの3人のキャスティングは絶妙ですね。
まず、この石田ゆり子さんと
井浦新さんがとっても色っぽい。
それと対照的にちょっとマヌケな役の
原田泰造さんが配置されてて。
森下
このメインのふたりは、
ハッピーエンドになったとしても
あんまり幸せになりそうにないね。
あやや
ああ、似合わないですね、ハッピーエンドが。
つき合わないほうがいいです。
ハッピーになりたいなら、
泰造とつき合ったほうがいいと思います。
──
大きなお世話です。
あやや
石田ゆり子さんの魅力って、独特ですよね。
色っぽいんだけど、すごく上品で、
いわゆる官能的な色気とは違って、
華奢というか、可憐というか‥‥。
森下
「幸薄そう」なところがいいんですよね。
あやや
そうそうそうそう!
荒井
「夫を殺した人と恋に落ちる」には
うってつけの女優さんですね。
あやや
ちょっとこう、困り顔なんですよね、いつも。
荒井
眉が困ってますよね。
森下
「困り眉」?
あやや
開運メイクで眉毛をあげたらどうでしょう。
森下
そんなのゆりちゃんじゃないよ。
いつもちょっと困ってるのがゆり子のいいところ。
荒井
そうか、石田ゆり子さんって、
たしかに不倫もののイメージがあるなと思ったら、
『不機嫌な果実』の主役なんですよね。
あやや
ああ、そうです、そうです。
不倫ドラマの名作『不機嫌な果実』。
荒井
で、その『不機嫌な果実』が、
今回、新しいドラマになるという。
森下
そうなんです。
あやや
これはまちがいなく不倫ですね。
じゃあ、そっちを話していきましょうか。
不機嫌な果実
テレビ朝日系●金曜日午後11時15分
4月29日スタート

──
これは、以前放送された
『不機嫌な果実』の続編とかではなく?
荒井
じゃなくて、同じお話を、
最新のドラマにしたんだと思いますよ。
森下
林真理子さんの小説が原作なんですよね。
あやや
石田ゆり子さんが主演されていた
『不機嫌な果実』は1997年放送だそうです。
だから今回、19年ぶりにドラマ化。
荒井
映画もありましたね、南果歩さん主演で。
あやや
ありました、ありました。
だから、一世を風靡したんですよ、
『不機嫌な果実』は。
──
ええと、資料によれば、
「夫婦生活の亀裂から不倫に走る若妻の姿を描き、
 1997年当時の日本において議論を巻き起こした」と。
森下
テーマ曲がUAさんの曲でしたよね。
石田ゆり子さんの相手役が岡本健一さんで、
色っぽかったんだよなー。
荒井
岡本健一さんが
大人の雰囲気を漂わせはじめた時期というか、
ひとつのピークがあのころでしたよね。
妙な色気があるっていう。
あやや
今回の脚本家は江頭美智留さんですね。
『花咲舞が黙ってない』の人。
森下
『ごくせん』とかもそうですね。
荒井
ああ、『ごくせん』『花咲舞』の人ですか。
あやや
だから、けっこうおもしろく仕上げるのも
持ち味の方なんでしょうけど、
これに関しては、シリアスですよね?
森下
基本的にはシリアスなんでしょうけど、
でも、これ、コメディとしてやったら、
それはそれでおもしろいかも(笑)。
あやや
キャストが、栗山千明さん、市原隼人さん、
あと、稲垣吾郎さん、萬田久子さん‥‥。
荒井
ちょっとコメディっぽくも見えますね。
あやや
ほんとだ、キャスティング的には
コメディでも成立しちゃいそう(笑)。
森下
それはそれで観てみたい。
荒井
でも、こうしてみると
前の『不機嫌な果実』のイメージとは
雰囲気がかなり違いますね。
メインキャストが栗山千明さんと
市原隼人さんっていうのも大きいのかな。
あやや
違いますよね。
石田ゆり子さんと岡本健一さんのときは、
観ている人がひっそり見守っているような
微妙な空気感がありましたけど、
このふたりの組み合わせには、
なんというか、「秘め事」な感じがしない。
森下
そうねぇ。
あやや
ですよねぇ。
だから、違うドラマとして、
たのしみにしたほうがいいかもしれない。
荒井
稲垣吾郎さんは、旦那さんの役ですか。
前の旦那役は、渡邉いっけいさんだったから、
ここもずいぶんイメージが違いますね。
あやや
でも、私、個人的には、
主演の市原隼人くんはいいと思いますよ。
彼の『不機嫌な果実』はちょっと観てみたい。
わりと好きなんですよ、市原隼人くん。
荒井
へぇー、そうなんですか。どのへんが?
あやや
かっこいいから。
──
シンプル(笑)。
森下
ちなみに市原隼人くんって、
マッチョで、ちょっとヤンキーで、
っていうイメージがあるじゃないですか。
でも、出身は『リリイ・シュシュのすべて』なんですよ。
あやや
そうなんです。
岩井俊二監督の映画がデビュー作なんですよ。
ただの「熱い男」じゃないんです。
荒井
市原隼人さんはよくモノマネされてるから、
なんかそっちのイメージがついっちゃってるなぁ。
こう、過剰に熱血漢なイメージ。
森下
そうですね(笑)。
あやや
あの、ところで、みなさん。
ちょっとお聞きしたいんですけど‥‥
『不機嫌な果実』って、
最終的にはどんなお話でしたっけ?
──
さんざん名作扱いしておいて。
あやや
いや、ちゃんと観てるんだけど、
なんか、結末を憶えてられないドラマなのよ。
森下
最後どんなんだっけ?
成就するんでしたっけ?
荒井
どうだったっけなぁ?
──
みんな憶えてないんだ(笑)。
森下
そう。
何回も観てるのに、なんか憶えてないんだよね。
あやや
憶えてなーい。
荒井
たしか、「私、がんばるわ」みたいな感じで
終わるんじゃなかったですか。
あやや
そんな感じだった気もしてきた。
──
なんて曖昧な話だ。
僕のヤバイ妻
関西テレビ・フジテレビ系●火曜日午後10時
4月19日スタート

あやや
不倫ものをもう1本、行っちゃいましょう。
『僕のヤバイ妻』です。
これは、不倫ものというよりも、
心理サスペンスみたいです。
──
ざっとプロットを読んでみましょう。
「愛人と共に妻の殺害を企てた夫。
 一方では、夫の浮気に気づいた妻が、
 本性を表し、とある目的のために
 夫を心身ともに追い込んでいく。」
あやや
うわ、怖。
荒井
主演は伊藤英明さんと木村佳乃さん。
つまり、木村佳乃さんが怖い役なんでしょうね。
あやや
なんか、木村佳乃さんって、
最近、イメージ変わりましたよね。
あえて新しい方向に進んでいるというか、
『イッテQ』に出たりして。
森下
あれ、新鮮でしたね。
あやや
どちらかというと高い場所にいるというか、
キレイ系の女優さんだと思ってたんですが、
急に変わりましたよね。
荒井
あの「しみるね〜え」っていうビールのCMなんかは
ちょっとやり過ぎな感じもありますけど。
素は、ああいう人なんですかね。
あやや
そういう感じはしますよね。
さばさばしてて、
ニーズがあればなんでも応えますよ、みたいな。
森下
見ている私たちのほうに
寄ってきてくれた感じがありますよね。
あやや
夫がヒガシさんだから、
そのくらいでバランスがとれるのかもしれない。
私、木村佳乃さん、嫌いじゃないですよ。
荒井
お話としては、なかなかすごい話ですね。
森下
ええと、
奥さんをワインで毒殺しようとしたら、
計画中止になって‥‥。
あやや
で、奥さんが誘拐されちゃうんだけど、
それが狂言なんですね。
森下
おもしろそうー。
──
『ゴーン・ガール』みたいですね。
荒井
あ、『ゴーン・ガール』に似てるっていう
ウワサはありましたよ。
森下
ああ、似てるかも。
あやや
それは映画?
──
映画です。
デビッド・フィンチャー監督の。
あやや
それは、どういう話なんですか?
──
‥‥‥‥。
あやや
‥‥‥‥あ、そうか。永田さんだった。
森下
え? どういうこと?
あやや
この人は、映画やドラマのお話を先に知るのが
すごくイヤな人なので、
じぶんが先に観た場合も、
その話を人にしないんです。
荒井
よくいえば律儀。
あやや
ふつうに言うと、頭かたすぎ。
──
‥‥‥‥。
森下
『ゴーン・ガール』、
細かいこと忘れちゃったんだんけど、
なんか、最後は○○○○でしたよね
──
ひゃぁあああ、
け、結末を、そんなぞんざいに!
森下
まあ、よくできた話でしたよ。
あれに似てるとしたら、たのしみです。
あやや
脚本は黒岩勉さん。
『ようこそ、わが家へ』ですね。
森下
あー、相葉雅紀さんの。
あれ、おもしろかったですね。
ってことは、サスペンスものが得意な方なのかな。
荒井
これ、ストーリーとしては、
夫は殺意があるだけで、
妻を殺してはないっていうこと?
あやや
なんか、殺害計画は中止になっちゃうみたいですよ。
荒井
じゃ、『ナオミとカナコ』とは違いますね。
あやや
あれは殺しちゃいましたよね。
荒井
そう、嫁と親友がDV夫を
5話目ぐらいで殺しちゃって、
あとの数話はひたすら逃げるという。
あやや
最後、逃げられたのかと思ったら。
荒井
もやっとした終わり方でしたね。
あやや
そういえば、
『告白』って映画、ご覧になりました?
あれも木村佳乃さんが
怖ぁーい役で出てらっしゃるんですけど。
森下
ああー、お母さん役。あれ、怖かった。
荒井
松たか子さん主演の映画ですね。
あれは怖かった。
あやや
あのお母さん、怖かったですよー。
だから、今回も、いいかもしれないですよ。
けっこうおもしろいかも。
──
聞いてると、なかなかおもしろそうです。
森下
うん。
あやや
たのしみですね。
よし、じゃあ、つぎのドラマに‥‥。
──
あ、すみません、ひとつ、質問いいですか。
荒井
お、めずらしいですね。
あやや
どうぞ、どうぞ。
──
この、主演の伊藤英明さんって、
よくドラマに主演してますよね。
あやや
そうですね。
──
この連ドラチェックの座談会でも
名前やしょっちゅう出ています。
今日、同席しているイラスト担当のサユミちゃんも、
伊藤英明さんの顔は何度も描いてると思う。
サユミ
はい、もう、何度も描いてます。
──
それほど、しょっちゅうドラマに
主演している伊藤英明さんですが、
ずばり、この連ドラチェックの座談会では
3人とも、ほとんど彼について語らない!
あやや
あーーー。
森下
ははははは。
荒井
たしかにねぇ(笑)。
──
こんなにいっつも出てるのに、
ほとんどスルーっていうのが、
おもしろいなぁと思って。
荒井
なんだろうなぁ。
語ることがないのかな?
──
しかし、こんなに主演作が多いということは、
当然ですが、ファンも多いわけですよね。
森下
もちろん、そうでしょうね。
あやや
伊藤英明さんがドラマに主演する理由は
はっきりしてるんですよ。
とにかく画面映えするの。
森下
うん。
──
つまり、ルックス的に、いい男だと。
あやや
そうそう。
顔立ちもきれいですし、
背丈もあって、ものすごく華やかなんです。
このバランスって、じつは重要で、
たとえばモデル出身の女優さんが
ヒロインを務めるときに、
その横にちっちゃい俳優さんを
置くわけにいかないんですよ。
──
あー、そうかそうか、背丈のバランスね。
荒井
かといって、
阿部寛さんほどデカくないという。
森下
そー、そー!
あやや
そうそうそうそうそう!
森下
あの「巨人感」はないよね。
──
「巨人感」!
荒井
阿部寛さんくらいデカいと、
どうしたって存在感が出ちゃいますからね。
いるぞ、という。
あやや
だから、伊藤英明さんって、
ほどよいんですよ。
スターってこうあってほしいな、
というルックスはしてる。
──
「スターの記号」なんだね。
あやや
そうです、そうです。
だから、いろんな作品に呼ばれるのもよくわかる。
もちろんルックスがいいだけじゃなくて、
出たら出たで、いい仕事するんですよ。
『WOOD JOB!』とかでも、よかったですよ。
荒井
あと、森下さん脚本の
『天皇の料理番』にも出てましたね。
森下
はい、お世話になりました。
あやや
『天皇の料理番』でも、
ちゃんと自分の雰囲気つくってましたよね。
荒井
ええ、いい味出してましたね。
森下
伊藤英明さんがすごく出番が多いのは、
主演もやれば、脇もやるからだと思う。
あやや
あ、そうですね。
森下
キャリアのわりに、両方、きちんとやる。
意外にいないんですよ、
両方できて、やってくださる人は。
──
なんだ、語れるじゃないですか、伊藤英明さん。
なんでいままで語られなかったんですか。
あやや
それはその、なんていうか、
微妙に、誰も肩入れしてない感じが‥‥。
荒井
なんでしょう。バラエティーの対応力も高いし、
ソツなくこなすイメージがあるのかな。
森下
あと、まあ、話題にしづらい
スキャンダルもあったりして‥‥。
あやや
そうそうそう、それはじつは大きい。
でも、実力はあるわけですよ。
森下
うん。ある。あります。
あやや
そういえば、伊藤英明さんが、
万人に語られるべき
輝きを放っていたときを思い出しましたよ!
ほら、あの「脱ぐドラマ」のときですよ!
森下
ああ、坂口憲二さんとふたりで。
あやや
そう! ふたりで脱ぐ!
あれ、最高だった。
荒井
『ダブルス』でしたっけ。
あやや
坂口憲二さんのほうが、家がプロレス出身だから、
比べちゃうとやっぱり、カラダがいいんだよね。
でも、伊藤英明さんは、タッパがあるし、顔もいい。
森下
いまちょっと思ったんだけど、
伊藤英明さん、市原隼人さんって、
ちょっと似てないですか?
犬顔のベビーフェイスなのに、
いいカラダ、みたいな。
あやや
あ、似てるかも。
いわゆる、甘いマスクで、体はマッチョ。
森下
兄弟役とかどうだろう、ふたりで。
あやや
いいかも、いいかもー、好みかもー。
森下
『マッチョハウスへようこそ!』とか。
あやや
いい!
荒井
ははははは。
あやや
V6の岡田くんとかもキャスティングしましょう!
『マッチョハウスへようこそ!』
森下
ある日、主人公の住む家の前に
「マッチョハウス」という謎の建物が建つ。
あやや
あと、角田信朗さんとか、
ほんとの人も出てもらおう
森下
吉田沙保里さんとかも入れたい。
マッチョハウス!
あやや
マッチョハーウスッ!
荒井
どういうドラマなんですか、それは。
──
ああ、まだ大混乱‥‥。


(もちろん、まだまだ続きますよー)
2016-04-19-TUE

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN