土方歳三、かく語りき。
山本耕史 from チャノミバ
第2回「香取慎吾とぼく その2」


香取君はもうほんとに、なんだろう、
天才なのかって最終的には思いますよね、やっぱり。
ぼくもこう、自分のやってることに関しては
けっこう自信を持ちたい人なんですけど(笑)。
たとえば香取君って、それこそ本番のセリフ言うときまで
ずーっと寝てたりするわけですよ。
で、「香取君、香取君」ってぼくが言うと、
「ああ」って目が覚めて。「疲れてんの?」なんつって。
そんなの「大丈夫なのかな?」って思うじゃないですか。
でもやっぱり本番になったときに
パッとやってパッとまた寝るわけですよ。
その一瞬で、彼の、
香取慎吾ができることの幅がギュッと開いて、
それをパンっと見せて、またすっと閉じるわけですよね。
‥‥すいません、
香取君の話になるとほんとうに長いんですけど(笑)。



もうほんとうに、ぼくが思ったのは、
「この人このままだとほんとうに死んじゃう」
っていうことだったんですよ。
それは体的にもそうですし、なんて言うんだろう、
やっぱり精神的に。
「この人を人間にしたいな」ってぼくは思ったんですよね。
で、ずーっといろいろやると、
彼はそういうこともぜんぶ理解してるんです、頭で。
「わかります、それもわかります。
 でもぼくはこうなんです」って言うんです。
それをちょっとでもひっぺがすのが、
すっごいたいへんだったんです。
それはもう、全パワーを使いましたね(笑)。
だから、ぼくがもっと疲れやすい人だったら、
「もうやっぱり(人間が)違うんだ」ってことで
距離感をうまく取って接したと思うんですよ、香取君と。
実際、ぼくも
「あ、この人はぼくと違って
 放っといたほうがいいのかな?」
って思ったこともあったんですけど、
それよりもやっぱり「それは違う!」っていう
気持ちのほうがやっぱり勝ったんですよね。

香取君って、
ぎりぎりのバランスで建ってる建物みたいなもので、
ぼくはそれをこじ開けて入っていこうとしてたんです。
だから、最終的には、
建物は半分くらい崩れちゃったかもしれないけど、
ぼくはそのほうが風通しがよくていい家だと思いますね。

逆の見方でいうと、
こんなに自分のことをいろいろ知ってる人って、
ぼくのまわりにもいないような気がするんですよ。
地元の友だちとかいても、やっぱり隠してることとか、
「友だちにはこういう部分は見せない」
とかあるじゃないですか。
それがね、香取君は唯一、ぼくのいろんな部分を知ってる。
それは、こっちが裸にならないと
向こうが裸にならないと思ったんですよね。

『新選組!』が終わって、
これからぼくと香取君がどうなるかは楽しみですね。
ほかの出演者とは、久しぶりに会うと
「ああ、久しぶり」っていう感じなんですよ。
山本太郎君とか、ぼくは10年くらい前に
いっしょにドラマをやってて、
そのあとにまあ、ちょこちょこ遊んだりもしてて、
藤原君にも会ってたから
「覚えてる? あの時」とか言ったりして、
「またよろしくね」って。
勘太郎とはいっしょに舞台やってたし‥‥。

でもね、香取君の場合は
やっぱりそれともちょっと違いますね。
たとえばいまだと、ちょっとこうお酒入ったりすると
彼の携帯にショートメールを打ちますからね。
それこそ恋人どうしみたいな感じになっちゃって、
まわりから見ると(笑)。
なんかねえ、ちょっとすごい仲ですよ(笑)。
で、向こうは絶対返して来ないんですよ。
でも、ぼくは返事が返って来なくていいんですよ。
それで俺のが伝わってるってことが絶対。
恋に似たもの? そうです。ほんとにそうですよ。

香取くんから学んだことも多くて。
ぼくはテレビの仕事が久しぶりだったものですから、
計算ができないんですよ。
だから、たとえば、アシスタントディレクターの人が
なにかちょっと失敗したとか失礼なことをしたとか、
たまにやっぱりあるじゃないですか。
時間がかかるとか。なににこんなにかかるんだとか。
そうするとぼくはイライライライラしてくるわけですよ。
で、ぼくが舌打ちしてなにか言おうとすると、
香取くんそれをサッと止めて、
「今日はいいじゃないですか。
 いつか終わりますから」って言って。
もうほんとうにいっつもなだめられるんですよ。

まあ、ぼくも、ケンカを吹っかけるとか、
そんなことはあんまりしたくないんですけど。
でもね、ぼくはやっぱり古い人間なのか、
平和ボケしてくると
なにかすごく戦いたくなるんですよね、やっぱり。
ここで自分が我慢していい子ちゃんになったら、
ほかの人がバーンって怒ったときに
「あ、うらやましいな、そのポジション」
って思っちゃうタイプなんですよ(笑)。
それだったら俺がやる、っていう。

あと、ぼくが副長という立場にいたあの現場で、
ぼくがイライラすることって、みんなにとっては
そんなにたいへんなことじゃないんですよ。
でも、香取くんがイライラしちゃったら
みんなサーッとなるわけですよね。
それをやらせないためにも、
ぼくがあえてそこの役割をやってたんですよね、たぶん。
だから、けっきょくは、
「場をひとつにしたい」んですかねえ。
でも、なんでそこまでして、
現場をひとつにしようとしてたのかっていうのが
自分でもよくわからなくて。

撮影が終わって打ち上げをしたときに、三谷さんが、
「山本耕史がいたから、この打ち上げにぼくはいるんだよ」
って言ってくれて。
「なんでですか、ぼくがやってなくてもいますよ」
って言ったら、三谷さんは、
「(山本耕史がいなかったら)
 ぼくはもう一次会で帰ってる」って。
「香取君もここにいないよ。山本耕史がいたから
 ぼくと香取君は、いま、この三次会にいるんだよ」って。
それはありがたいなと思ったんですけど。

だから、ぼくが自分のことを客観的に振り返って、
自分がなにをやったのかなって考えてみると、
やっぱり香取君っていう人と
いろんなことをつなごうとしたんですね。
「つなげた」じゃなくて、
「つなごうとした」なんですけど。
でも、きっと、それを
1年間ずーっとやり続けてたんですよね。
だからそのことしか記憶にないんだと思うんですけど。
それが『新選組!』っていうドラマを作るには
すごく大切なことだったんじゃないかな
とは思いますけどね。

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2005-04-19-TUE

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