三谷龍二さんのあたらしい場所。[10cm日記]
 

9月7日
窓とちり取り
壁にハウスラップというのが貼られ、
窓を穿った出来上がりの様子が
ようやくわかるようになりました。
 
僕たち素人は、部屋で暮らす時の実感から
建物のことを考えますから、
どうしても外から見た、
構造物としてのかたちにまでは
気が回らないところがあります。
住むというのは、
雨風をしのげる内部に包まれることですから、
その実感の方が中心になるのは致し方ないのです。
 
でも、建物の外観はもちろん大切です。
道を歩いてきて、
遠くから自分の家が少しずつ見えてくる、
その時の家の佇まいが
一番印象的な家のかたちなのですから。
それが夕暮れだったら、
窓には明かりが点いているでしょう。
その窓のかたちをどういう風に穿つか、
そのことが気になって仕方ありません。
ところがそれは素人には
判断がなかなか
難しいことだというのに気がつきました。
 
僕が好きな建物は、窓が小さく、しかも少ない、
例えば倉庫や納屋のような建物です。
そう考えるとますます困ってきます。
外からの採光や通気、
プライバシーなどを考えながら、
家全体への配置を考える、
その内と外の両側を考えるというのを、
合わせて考える、というのは
なかなか難しいと思いました。
 
実はショップ部分の窓は、
友人から譲って貰った、
古い学校で使われていた窓を利用するつもりでいます。
元々古い建物の改装ですから、
その方が似合うように思ったからです。
でもその窓枠は残念ながら1対しかなかったので、
だから他の窓は新しいものになってしまい、
そのことも悩ましさの一因になりました。
中に入って窓のことを考えていると、
脚元にあった、棟梁の使っている
ちり取りが眼に入りました。
 
木工の屑は電気掃除機では
すぐに目詰まりしてしまうから、
やはり箒とちりとりが活躍します。
もちろん僕も工房に箒をいくつも持っていて、
用途に合わせていろんな大きさのものを
使い分けています。
 
例えば手箒で言えば、
腰の硬い箒は
引っかかって取れにくいゴミを除くのに使うし、
柔らかめで巾のあるやつは、
機械の上に貯まった木埃を掃くのに使います。
ちり取りもブリキやステンレスなど
いくつか持っているのですが、
ここまで行くとすでにお分かりのように、
ただ実用というだけでなく、
掃除用具が好き、という範疇に
すでに入っているように自分でも思います。
 
だから棟梁のちり取りが気になりました。
このちり取りは一斗缶を使って
自分で作ったものでしょう。
でも柄の処理辺りを見ると、
なかなかだと思いました。
ちょっと持たせて貰うと、
重心のバランスといい、
持ち手の形状といい、
良くできていました。
こうしたところが判っている人、
というのは信頼できる、そう思いました。

2010-10-26-TUE

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